全長 25cm
これまでずっとヨスジフエダイだと信じてきた魚の中に、別の魚が含まれていたことが近年(といってももう20年近く経っているけど)明らかになっている。
ベンガルフエダイというこの魚は、パッと見はほとんどヨスジフエダイだ。
一応区別の仕方にはいくつかあって、識者が列挙して曰く、
ウーム…写真で見比べるならいざ知らず、これを海中で観察しているときに参考にするのは無理かも…。
でも海域によっては、ずっとヨスジフエダイだとばかり思っていた群れがすべてベンガルフエダイだった、ということもあるようなので、取り急ぎ水納島ではどうなのか、手元の写真で見比べてみよう。
…と思い立ったのが2014年のこと。
というのも、ひょっとしてこれはベンガルなのでは?という子たちの姿がその年目立っていたのだ。
でも、もっともわかりやすそうな背ビレの棘数なんて、標本でもない限り数えられない……
あ!
アクビをしている時の写真なら数えられる!
というわけで、棘数をアテにする限りでは、ひょっとして…と思っていた子たちははたしてベンガルフエダイだった。
また、同じように以前の写真を見てみたところ、過去に撮っていた群れの写真はそのほとんどがヨスジフエダイで、なかにベンガルフエダイっぽいものが少々混じっているような……くらいだった。
そこでふと気が付いたのだけど、それまで居なかったところに幼魚〜若魚が居つき始め、ある程度まで成長するんだけど、その後忽然と姿を消すヨスジフエダイの若魚たち……と思っていたのは、今思うとそのほとんどがベンガルフエダイだったかもしれない。
それまでヨスジフエダイなどまったく居なかったところに幼魚が居つき始め、若魚まで育っていたこの根でも…
1匹1匹をよく観ると……
どうやらベンガルっぽい。
この根とはまったく別のポイントの根でも、ある時期若魚の群れが観られた。
この根の群れは50匹ほどいて、そのほとんどがベンガルフエダイだった。
ところがどちらの根でも、そのままオトナになるまで居続けることはなく、ある時忽然と姿を消した。
こうして観てみると、水納島の場合は、オトナにまで育ち、なおかつずっと群れているのはほぼヨスジフエダイ。
ベンガルフエダイもいるにはいても、ときどき幼魚がたくさん流れ着き、若魚にまで育ちはしてもやがて居なくなるものがほとんどで、オトナにまで育ったものはヨスジフエダイの群れに少々混じっている程度、というところのようだ。
ともかく、ヨスジフエダイだと信じていたものが信じていたとおりでよかったよかった。