全長 3cm
※冒頭からいきなり追記(2021年7月)
いきなり始まる追記が長くて恐縮ながら、以下は、昨年(2020年)11月に一度拙日記コーナーで紹介したことがある内容。
ガラスハゼが住むムチカラマツ類には何種類かあって、お馴染みのムチカラマツのほか、クルクル巻くように伸びていくネジレカラマツという種類もある。
そして、明らかにムチカラマツとは様相が異なるのに、とりたてて名前がついていない(ように思われる)ムチカラマツの仲間がいる。
基本的にムチカラマツと同じような場所に生息しているから、ご覧になったことがある方も多いはず。
ひと目見ただけでわかるほどに赤味が強いこのレッドロッドタイプは、色味が異なるほか、ディテールを見るとまったく別モノに見えるほど違いがある。
ムチカラマツの各ポリプは茎(?)の表面に満遍なく点在している。
それに対しレッドロッドタイプのポリプ(?)は……
片側に偏在しているのだ。
まさかこれが同じ種類であろうはずはない(※個人の感想です)。
しかし少なくとも現在のところ、このタイプに付けられた和名も学名も見当たらない。
でもこのレッドロッドにも、ガラスハゼ(類)は暮らしている。
ガラスハゼの仲間は、種ごとに住処にするサンゴ(ヤギ類)の種類を(ある程度)住み分けているという。
このレッドロッドタイプもムチカラマツなのであれば、そこに暮らしているガラスハゼ(類)はザ・ガラスハゼのはず。
はたしてレッドロッドにはどのようなガラスハゼが住んでいるんだろう?
これがまた昔と違ってレッドロッドタイプ自体がおいそれとは見つからず、見つかってもガラスハゼはおらず、かろうじて1組のペアに出会うことができた。
おそらくオスと思われるのがこちら。
一方、ザ・ムチカラマツで暮らしているザ・ガラスハゼ(と我々が思っているハゼ)はこちら。
どっちもおんなじガラスハゼじゃん……
…と言いたいのはやまやまながら、注目すべきは矢印の先だ。
ガラスハゼの体には帯状の模様が何本か入っているのだけれど、モンダイはそのうちの背ビレ前方付け根付近から伸びる帯。
これが背ビレ前方付け根付近から伸びているのが、我々がザ・ガラスハゼ認定しているところのザ・ムチカラマツ在住のガラスハゼ。
一方レッドロッドタイプのガラスハゼはというと、背ビレ前方の付け根よりもさらに幾分前に帯があるのだ。
そんなのどっちだっていいじゃんッ!!
…とワタシも声を大にして叫びたいところながら、ガラスハゼの仲間たちを見分ける際にはこの部分はけっこう重要になるらしい。
で、この見分け方に基づくなら、このレッドロッドムチカラマツに暮らしているガラスハゼは、名著「日本のハゼ」(旧版)における「ガラスハゼの1種‐1」が近い。
はたしてホントに別種なのか?
もっとも、件の図鑑におけるザ・ガラスハゼの写真も説明も、実は水納島で我々がガラスハゼ認定しているものたちとはビミョーにこの背ビレ前方付け根付近の横帯の位置が異なっていたりする。
水納島のザ・ガラスハゼは、西表のザ・ガラスハゼと違うのだろうか…。
不思議なことに、90年代半ばに水納島で撮ったガラスハゼは……
図鑑がガラスハゼの特徴として述べるところの位置にちゃんと帯がある。
あれ?20年経って変わっちゃったの??
とまぁそんなわけで、もしレッドロッドタイプのガラスハゼが本当にザ・ガラスハゼとは異なる種類であるなら、「種ごとに住処のサンゴの種類が異なる」法則に照らし合わせると、レッドロッドタイプのムチカラマツは、ザ・ムチカラマツとは別の種類であろう、という推測も成り立つ。
ところが、これまで撮ったガラスハゼの写真を見ながらあれこれ考えているうちに、そもそも「ガラスハゼ」とワタシが信じて疑ってこなかったハゼは、ホントにザ・ガラスハゼなのか?というところまで追い込まれてしまうことになってしまった。
そして今年(2021年)2月、名著「日本のハゼ」の新訂増補版が刊行された。
気になるガラスハゼの稿を見てみると、旧版との違いはない。
ただ、旧版には載っていなかった各種ハゼたちの写真が巻末にドドドッと掲載されており(増補部分)、そこに「ガラスハゼ属の1種−4」なる写真も載っている(535頁)。
これって………ここ15年以上我々が水納島で「ザ・ガラスハゼ」認定していたヤツなんじゃね??
というか、ひょっとするとかつてはホントにザ・ガラスハゼばかりだったものが、知らないうちに「ガラスハゼ属の1種−4」に置換されてしまったとか??
いやホント、図鑑がいうところの、そして前世紀には記録に残っているザ・ガラスハゼ、今どこを探しても見当たらないもの……。
すっかりお馴染みのつもりでいたガラスハゼが、ここにきてナゾの魚になってしまった。
そんな事態を避けるためにも、ガラスハゼ類になど近寄らない方がいい…とあれほど自分に言い聞かせていたのになぁ…。
ともかくそういうわけで、ここで紹介している「ガラスハゼ」は、実はガラスハゼではないかもしれない。
なのでここから先は、「ガラスハゼ」という名前が出てくるたびに、以上のことを脳内補完しながらお読みください……。
※冒頭追記終わり。
ガラスハゼは大きくなっても3cmほどの小さな魚で、その名のとおり、ガラス細工のような繊細な透明感がある。
とはいえよほどの変態的生きもの好きならいざ知らず、ダイビングを始めて早々にこんな小さな魚の存在に気づく人はそう多くはない。
なので当初は、ガイドや先達に指し示されないと気づけない魚かもしれない。
でもひとたびその存在を知れば、いともたやすく自力で見つけることができる魚でもある。
なにしろ、針金のようにビヨヨ〜ンと伸びるムチカラマツというサンゴの一種を住処としているから、ムチカラマツを順に観ていけば、水納島の場合5割以上の確率で労せず見つけることができるのだ。
ガラスハゼたちはここで伴侶と出会い、恋をし、卵を産み、そして死んでいく。
長く伸びるムチカラマツは、彼らにとってのスペースコロニー、暮らしのすべてなのだ。
そんなガラスハゼの暮らしぶりや見た目の美しさ、そして労せず会うことができるということもあいまって、目立たぬ小さな魚のわりに、ダイバーの間ではけっこうメジャーな存在でもある。
しかし。
このテの魚はすべて「ガラスハゼ」ということなら何もモンダイは無いのだけれど、度を超えた生き物好き変態社会人といっていい魚類分類学者たちは、この小さなガラスハゼたちをも可能な限り細分してしまった。
そんな彼らのシゴトのおかげで、現在日本には9種類ほどもガラスハゼの仲間がいるという。
それらがアカメハゼのように他と比べて一目瞭然の区別がつくのであればともかく、我々シロウトが写真を見てどうこういえるほどわかりやすい違いがあるわけではない場合がほとんど。
となるとゲンジツモンダイとして、観ても違いが判らないモノをあえて区別しようとしても不可能なので、おそらくは別の種類だろうとワタシでもわかるものを除き、ともかくムチカラマツに住んでいるガラスハゼの仲間は、ここでは…いや、当店では「ガラスハゼ」ということにする。
さて、そのムチカラマツにいるガラスハゼは、ほぼほぼペアで暮らしている。
四六時中新しい出会いがあるわけではない限られた生活空間のため、ひと目逢ったその日から恋の花を咲かせなきゃならない。
なのでベニハゼ類同様、ガラスハゼたちも両方向への性転換が可能なのだろう。
恋の花を咲かせてめでたく繁殖に至ったガラスハゼ夫婦は、ムチカラマツに卵を産み付けている。
ムチカラマツを無理矢理きりたんぽに例えるならば、途中の数cmほどの部分だけネズミにつまみ食いされたかのように芯が剥き出しになっている部分、そこにガラスハゼの卵がある。
クラシカルアイではとてもじゃないけど卵の一粒一粒を確認できないけれど、写真なら……
キラキラしている卵が、すでに目玉ができている段階だということがわかる。
それにしても、本来完璧なきりたんぽ状態のはずのムチカラマツが、なぜにここだけ「どうぞここで卵を産んでください」と言わんばかりのスペースを提供しているのだろうか。
実はこれ、ガラスハゼ自身がムチカラマツに産卵床を作っているのだ。
繊細なガラス細工のようなガラスハゼではあるけれど、その口には……
けっこうスルドイ歯がズラリと並んでいる。
ガラスハゼたちはこの歯を使って、ムチカラマツの肉を剥ぎ取り、芯を剥き出しにして産卵床を作り出しているのである。
……というような話は図鑑などに記されている説明を読んで知ってはいたけれど、こんな小さなハゼがぁ?と長い間眉唾状態でいたワタシ。
ところが。
とあるポイントに膝丈ほどの高さしかないムチカラマツが海底の小岩から生えていて、そこにガラスハゼのペアが暮らしていた。
暮らしの場が1本のムチカラマツ限定とはいえ、その1本が2mも3mもあると、ガラスハゼは自由自在に行き来するため、観るにも撮るにもやっかいなことこのうえない。
それが膝丈くらいなら、じっくり観ていられる狭い範囲にほぼほぼ居続けてくれるので大変便利なのだ(フツーはそれほど短いムチカラマツにはガラスハゼは住まない)。
これ幸いとばかりにタンク1本使う覚悟でずっとガラスハゼを観ていると、ペアの動き、ことにオスの動きにいつもの落ち着きがなかった。
ちなみに、オオガラスハゼとガラスハゼの見分け方のひとつとして、吻の長さの違いも揚げられているのだけれど、長年ガラスハゼ(と思っているハゼ)を観てきたところ、ペアのうちオスのほうが吻が長く、メスのほうが短い、という性差によるフォルムの違いが観られる。
そのためペアでいればどちらがオスかたいていわかる(と思っている)ので、アヤシイ動きをしているのがオスだとわかるわけだ。
で、アヤシゲだったオスは、やおら意を決したかのごとく……
すでに何度か産卵床として使用した芯剥き出し部分を、持ち前のスルドイ歯を使ってかなり精力的に激しく整え始めた。
これは8月末のこと。
水温が高くなりすぎると精力減退する傾向がある魚たちのこと、キビシイ盛夏を乗り越え、ようやくほどよく水温が下がってきて、久しぶりに子作りでも!となったのだろうか。
ひと月ほど放置プレイだったせいか、すでに何度も利用しているのであろう産卵床に生えている藻を、ワッセワッセと剥がしていた。
しかし久しぶりに盛り上がったメスはオスの作業の完璧なる終了を待てなかったのか、ワタシでさえ「まだだろう…」と思わずにはいられない段階だったにもかかわらず、ある程度清掃が済むとサッと産卵床に来て……
卵を産み始めた。
メスのささやかな輸卵管から次々と産み付けられていく卵たち。
メスはムチカラマツ上で位置を変え向きを変え、セッセと卵を産んでいく。
それに合わせてオスは、卵に受精させていく。
産卵・受精という荘厳なる儀式が終わると、ガラスハゼ夫婦はホッとひと息つきながら、卵のそばで静かな時間を過ごす。
使命を果たした終えたオスは、まるで風呂上がりのビールを飲んだお父さんのように、充実感に満ちていた。
そんな父ちゃん母ちゃんの努力の果てに生まれたチビたちは、おそらく浮遊生活期間を経て、やがてサバイバルを勝ち抜いた者たちが、生涯の暮らしの場となるムチカラマツにたどり着く。
細いムチカラマツの直径よりも多少大きい程度の、激チビガラスハゼ。
ちなみに、ムチカラマツも刺胞動物に属する生き物だから、強毒のイソギンチャクほどとはいかずとも、それなりに刺胞毒を外敵に対して使用する。
オトナのガラスハゼたちは何不自由なくムチカラマツ上で過ごしているけれど、それは先天的に刺胞毒に対して無害な特性を有しているわけではないらしい。
そのため初めてムチカラマツにたどり着いたらしき激チビガラスハゼは、ムチカラマツのポリプに触れるたびに……
…と、刺胞毒の刺激を受けてビックリ仰天(※擬音はイメージです)。
約束の地のはずなのに、理想とかけ離れて居るんですけど…
というガラスハゼ・チビターレの声が聴こえてきそうながら、この刺胞毒ショックを乗り越えなければ、彼に未来は無い。
なのでチビターレは、ムチカラマツについては飛び跳ね、ついては飛び跳ねを繰り返しながら、徐々に徐々に馴染んでいくことになるのだろう。
仙台方面の表現でいうなら、「いずい…」と感じつつも、なんとか順応しようとしているガラスハゼチビターレなのだった。
そんな試練の真っただ中の激チビターレにも、きっといつか、産卵床のためにムチカラマツの肉を果敢に剥ぎ取る日が来るのだった。
※追記(2020年10月)
本文中ではサラリと述べるだけで終ってしまったガラスハゼのオスメスの顔つきの違いを、写真で紹介しておこう。
ガラスハゼのオスはこんな顔。
なんだか口元がアヤシイ。
一方メスは……
口先までシュッとしている。
これはおそらく、ムチカラマツの肉を剥ぎ取る産卵床作成のため、メスに比べてオスのアゴや歯が発達しているからではなかろうか。
その分オスのほうがやや面長なように見えるから、たとえメスのお腹が卵で膨れて居なくても、雌雄はだいたいわかる(つもりでいる)。
そんな口元が怪しいオスを正面から観てみると……
あらら、意外にオバQフェイス(笑)。
※追記(2026年1月)
本文中でも触れているように、しょっちゅう観ている気がするガラスハゼの卵ながら、あまりにも水温が高い時期はガラスハゼ夫婦は休憩モードになっているっぽい。
なので適温の頃が産卵シーズンなのだろう…と朧げに思っていたところ、一昨年(2024年)の潜り初め、すなわち新年早々のダイビングで、ガラスハゼの卵を確認してしまった。
1月3日の時点でこれくらいだとすると、おそらく年末には産んでいたのだろう。
それにしても、ガラスハゼが水温が低いこんな季節に産卵していたことなんて、過去にあったっけか?
低水温のため産卵頻度が少ないのに加え、こちらも冬は潜る頻度も少ないから、これまでは見逃していただけなのか、それとも観たことがあるのに忘れているのか、はたまたホントに以前は真冬に産んでいなかったのか…。
気になったので、その年は真冬にガラスハゼの卵チェックもしてみた。
すると、1月6日に潜った際には、ガラスハゼのペアがいるムチカラマツを試しに10本確認してみたところ、驚いたことにそのうち5本で卵が確認できた。
真冬のこの時期に卵を確認した先日は意外に思ったくらいだったのに、実に5割のペアが卵を育んでいるとは。
確認したうちでは↑この卵が最も発生が進んでいて眼がキラキラしていたんだけど、他の4ヵ所のうち3ヵ所ではだいたい↓これくらいの発生段階で…
…発生段階が一番遅いものは↓こういう状態だった。
これは眼ができかけている初期の頃なのだろうか?
とにかくそういうわけで、意外に思えた1月のガラスハゼタマタマは、発生段階に微妙な差はあれどごくごくフツーに観られるみたい。
この年の年末年始の水温は今年(2026年)の同時期に比べると1度ほど高いものの、それでも冷たい冷たい冬の水。
水温が21度と、1年を通じて最も低い時期に差し掛かった1月半ばでも、ガラスハゼたちは産卵していた。
しかも↑このタマタマは、年明けに確認した際には目ができるまで発生が進んでいた卵の主のペアが、再び同じ産卵床に産んでいたもの。
水温が低いからおそらく卵の発生の進み具合は遅く、その後孵化するまで一週間前後経ったと思うのだけど、早くもこのように新たなタマタマがズラリと並んでいるということは、ガラスハゼたちの産卵周期は、水温が低かろうとも夏場とほとんど変わらないってことになる。
それほど短いローテーションで産んでいるにもかかわらず、冬場に卵を観た記憶がこれまで無かったのはなぜだろう?
ちなみに、ガラスハゼが住まうムチカラマツはサンゴなので、共肉にダメージを受けても再生する能力がある。
そのため、ガラスハゼが産卵床として利用する際に共肉を剥がされても…
…その2ヵ月後の6月には産卵周期が長くなっていたのか、いったん復活し始める様子が観られた。
その後再び産卵床にされ、せっかく復活しかけた共肉は再び剥がされたのだけど、なぜだかガラスハゼペアが居なくなってしばらくすると、すっかり再生が完了していた。
ということは、ガラスハゼペアが多少は産卵をお休みしてくれないと、ムチカラマツはダメージを蒙ったままになってしまうことになる。
ほんの一部くらい、共肉が剥がされたままになっていてもいいんじゃね?
という声もあるかもしれないけれど、骨格だけになってしまっているところに、これ幸いと付着する他の生き物たちがいるのだ。
何かしらの理由でサンゴの再生能力が奪われてしまったのか、付着生物が侵入箇所から勢力を広げるのかは不明ながら、共肉が剥げていた部分が↓こうなっているムチカラマツもちょくちょく見かける。
これはカイメンの1種で、これに取りつかれたムチカラマツは、勢力争いでカイメンに敗れ去る傾向にあるから1本丸々死んでしまい、ムチカラマツはカイメンの棒になってしまう。
ただしよくできたもので、カイメンの某になってしまった元ムチカラマツには、別の住人が暮らすようになる。
これは当サイトでは「暫定ホソガラスハゼ」としているガラスハゼの仲間と思われ、たくさんいるザ・ガラスハゼに比べると出会う機会が少ないハゼなので、むしろヨロコビとともに出会っていたりもする。
とはいえムチカラマツ的には、このように再生できずに他の生物が取りつかれて死んでしまうものが増えてしまっては元も子もない。
カイメン以外にも、虎視眈々とムチカラマツの骨格解放を狙っているものがいる。
これは二枚貝の一種で、小さいうちや、たとえ成長してもムチカラマツの長さとのバランスが取れていればいいのだけれど、この貝が長いムチカラマツの先のほうで成長し続けると…
…貝の重さでムチカラマツが倒れてしまい、ムチカラマツの先っちょが絶えず海底にこすれるようになってしまう。
常時こすれていればさらに傷むのは必至で、再生もおぼつかないとなれば、そこにまた新たな生物が取りつき…ということになる。
その他、ムチカラマツの再生よりも藻類が蔓延るほうが早かったりすると、その部分は死んだままになる。
死んだままになった部分の骨格に藻が入り込んでいくと脆くなり、そこからポキッと折れてしまうこともある。
このように「以前よく観ていたムチカラマツが、なんだか最近短くなってしまった…」というケースが近年はやたらと多く、それはおそらくこういった事情によるものと思われる。
そこには、真冬でも産卵するようになったガラスハゼの影響もあるとか…?
ただしムチカラマツを傷つけているのは、無論ガラスハゼの産卵床ばかりが原因ではない。
撮影に夢中になるあまり、ムチカラマツに気づかずBCやレギュレターのホースに引っ掛かってしまったり、技術が伴わないためにフィンでムチカラマツを蹴り倒したりしているダイバーのなんと多いことか。
ボートフィッシングで釣り糸が引っ掛かって…ということも多々あるに違いない。
そうやって傷つけられるケースが増える一方で、傷ついたあとの再生能力を阻む要因が増してしまえば、ムチカラマツたちはどんどん短くなったり死んでいったりすることになるのだろう。
まだまだたくさんいるとはいっても、ガラスハゼの姿が昔々に比べると少なくなっていると感じられるのは、けっして気のせいではないのかもしれない。
ムチカラマツにとってはビミョーかもしれないという一抹の不安がありつつも、なにはともあれガラスハゼたちは、真冬の冷たい冷たい世界の中でも、あちこちでアツアツなのだった。