全長 12cm
陸地の総面積こそ小さい沖縄県だけれど、擁する海は広い。
そのため同じ沖縄県でも、八重山地方と本島周辺では、観られる魚もけっこう違ってくる。
このハクテンカタギは、少なくともワタシが学生時代を送っていた当時の本島周辺では観られなかったのに、卒業旅行モドキで行った西表島ではわりとたくさんいたので驚いたものだった。
離島とはいえほぼ本島海域になる水納島にも、やはりこのハクテンカタギはいない。
ところが年によっては、夏の間に幼魚がチラホラ観られることもある。04年、05年の両年はどういうわけか特に多かった。
ただし、残念ながら彼らがそのままいつくことはない。
伊豆あたりでいうところの「死滅回遊」(季節来遊)なのだ。
せっかくたどり着いたものの、仲間と出会うことができず、おまけに寒い冬を越すことすらできず、いつの間にか消えてしまうという、カナシイ人生を送っている。
ところが、このところ愛用している吉野雄輔氏の「日本の魚」に載っているハクテンカタギは、沖縄本島の真栄田岬で撮影されており、しかもペアで仲良く写っている。
あれ?本島でも普通に観られるようになってるの??
流れ着いた子たちが運よく相手を見つけ、艱難辛苦を乗り越えて新たな生活圏を確保したのだろうか。
ということは水納島でも、うまい具合にペアになってくれれば、ハクテンカタギが普通にたくさん観られるようになるかもしれない。
※追記(2019年10月)
今年(2019年)9月、久しぶりにハクテンカタギの500円玉サイズに出会った。
これくらいのチビターレは、10年ぶりくらいかも。
※追記(2020年10月)
その1年後、同じ場所には大きく育ったハクテンカタギが観られるようになっている。
レア度からして同じ場所に他にもう1個体いたとは考えにくいから、おそらく前年のチビが成長したのだろう。
1年経っても、やはり一人きりで生活している。