全長 1m(写真は3cmほどの幼魚)
そろそろボートに戻ろうとラダーにたどり着いたら、ラダーに見慣れぬ光物のチビがまとわりついていることに気がついたのは、2015年3月のことだった。
南国沖縄とはいえ3月といったら1年を通じて最も水温が低い時期だから、寒さに耐えかねてそろそろボートに…と思っていたのに、ともかくも証拠写真を……と水面下で波に揺られながら撮っているうちに20分くらい経ってしまった。
ホットな生き物は寒さを忘れさせてくれるのである。
その甲斐あって、正体を知るのに役に立つくらいの写真は撮れたのだけど、はて、このチビチビはいったい誰??
チビチビたちの上に写っているステンレス部分がうちのボートのラダーの横バーだから、この魚たちの小ささがおわかりいただけよう。
このテの回遊魚系幼魚は、ちょくちょくこのように水面に浮かんでいるボートを拠り所にしようとするものながら、このような色模様のチビターレはこれまで観たことがない。
アジではなさそう。
かといってサバでもなさそうだし、ツムブリでもない。
うーん、ひょっとしてブリ??
「ブリの幼魚」で画像検索してみると、この写真とそっくりな子がいくつか出てきた。
でも沖縄にブリなんていたっけ???
分布域を確認してみると、沖縄はその分布域の南端にギリギリ入っていないようだ。
ブリではないとすると………
そういえば、ブリにそっくりな魚がいたような。
そうだ、ヒラマサだ!!
ヒラマサなら、その生息分布域に沖縄も含まれている。
さっそくヒラマサの稚魚で画像検索してみると…
ビンゴ♪
というわけで、この子はヒラマサの稚魚と認定。
分布域にギリギリ入っているとはいえ、ホントにギリギリだから、沖縄でヒラマサなんていったら相当レアなはず。
実際ヒラマサのオトナとは旅先の飲み屋で出てくる極上刺身にしか会ったことがないから…
門司・一心太助にて@2020年
…海中で初めて出会うヒラマサだ。
ところで。
目ざとい方はすでにお気づきであろう。
撮影している時は、チビチビたちのエラの付け根に黒点模様があるんだ……とばかり思っていたら、後刻パソコンモニターで写真を観てみると、個体によってその黒点の位置が違う。
ん?
拡大してみると………
わぉ、寄生虫!!
ご丁寧にヒラマサチビターレ3匹それぞれにくっついているなんて……。
体の反対側にも付いていたんだろうか。
定住性の魚だとその移動距離はたかが知れているけれど、このテの魚に付いちゃえば、パラサイトとはいえその行動圏はワールドワイド、相当あちこち旅できるに違いない。
回遊する虫もいるのだなぁ…。