全長 3cm
このハゼと初めて出会ったのもまだフィルムで写真を撮っていた昔のことで、当時は和名がついていないどころか、既存の図鑑でその姿を確認することもできなかった。
やがてダイビング業界の一部で変態社会の世になってくると、こういった小さなハゼたちにも次々に脚光が浴びせられてゆく。
おかげでこのハゼも、今ではしっかり和名つきで図鑑に載っている。
その名もホシクズベニハゼ。
命名者はシリウスベニハゼと同じなのではあるまいか。
こんな小さな小さなハゼにシリウスとか星屑だなんて、和名提唱者は相当なロマンチストか変態マニアかのどちらかだろう。
水納島近辺では浅いところでは見られず、岩場のやや深めでひっそり暮らしている……
…と思っていたら、ひところは砂地の水深20mほどの根でもポツポツ観られたことがあった。
図鑑的には「浅所に生息」とあるので、特に深い場所を好むわけではなかったようだ。
水納島の岩場のポイントの場合、彼らが好む環境がたまたまそういうところより深い場所にしかないだけなのだろうか。
いずれにしても、水納島の場合はそれほど数多く観られるわけではないから、出会いのチャンスは大事にしたい。
とはいえ似たような小さなベニハゼが多いので、たとえ目の前にいたとしても紛らわしい。
そんなときはすかさず目の上をチェック。
特にこれといった模様が無い体とは対照的に、そこには散りばめられた水色の点々、すなわち「星屑」が。
この模様があれば、まぎれもなくこのホシクズベニハゼなのである。
もっとも、冒頭の写真のようにクッキリと星屑模様が出てくれていればいいけれど、場合によっては…
さほど目立たないこともある。
クラシカルアイでこれを海中で確認するのはかなりキビシイ。
少なくともR-50は、写真を撮ってからモニターで確認するほか手が無いのだった。