全長 12cm
オレンジとホワイトが、真ん中できれいにパッカリと分かれているから、海中でもよく目立つ。
もうすこしじっくり見ると、その2色以外に微妙な色合いに満ちていることに気づく。
水納島のフタイロハナゴイは、たいていケラマハナダイやカシワハナダイがいるようなところで見られ、岩場ではまったく観ない。
ただし砂地であっても水深20m前後の根では、いてもせいぜい2〜3匹くらい。
それでも複数匹いてくれるとハレムが作られ、性転換を終えたオスもいるので、上の写真のようなオスにしか観られない背ビレの2本のボンボリを観ることもできる。
でもオスがこのボンボリをピンと立ててくれるのは、メスにアピールするときやアクビをするときくらいのもので、そうそうヒレをこのように広げてくれないから、フタイロハナゴイの一般的なイメージはもっぱら↓こんな感じではなかろうか。
ヒレをたたんでいると、2本のボンボリは見えない。
ボンボリの存在をご存知で、是非その姿を写真に納めたい、という方は、この子がヒレを広げるのを今か今かと待ち構えるのだろうけど、目的を果たすよりも前に、無減圧潜水の限界時間を越えてしまうかもしれないからご注意を。
一方メスは……
ヒレをどれほど広げようと、ボンボリはどこにも見当たらない。
せっかく広げてくれたと思ったらメスだった…なんてことがないように、雌雄はキッチリ見分けましょう(複数匹いれば、たいていそのうちの最大のものがオス)。
とはいえこのフタイロハナゴイ、けっして珍しくはないけど個体数は多くはないため、通常のファンダイビングで訪れるところでは、立派に育ったオスがいる根は少ない。
だからこれまで、他のハナダイ類のようにフタイロハナゴイが婚姻色を出してメスにアピールする姿を目にしたことがないのだろう…と思っていた。
ところが聞くところによると、フタイロハナゴイのオスはホントに産卵間際の短い時間しか婚姻色を出さないという。
おそらく産卵時刻は日没近辺だろうから、そんな時間帯でしか観られないものを、すでにビールタイムになっているワタシが観られるはずはなかった。
ちなみに、同じ砂地でももう少し深いところでは、オトナが10匹近くいたりすることもあり、そういう場所では幼魚も数多いこともある。
またこの幼魚が、オトナに比べるとかなり妖艶な色彩&フォルムなのだ。
もちろんアクビもカワイイ。
こんな幼魚が10匹くらい集まっていようものなら……
場所が深いだけに、紫色が妖しく誘っているようにも見えてくる。
たしかに、このままずっとここに居ていたい衝動に駆られるけれど……
健康のためには、あまり深入りしない方がいい。