全長 25cm
セリカとスカイラインの区別がつかない方には、オジサンにしか見えないかもしれないフタスジヒメジ。
しかしオジサンがいたるところで観られるのに対し、フタスジヒメジはそもそも個体数が少ないからか、出会う機会は相当少ない。
しかもリーフの外にはおらず、彼らと出会えるとしたらリーフ上の浅い浅いところになる。
水納島でのボートダイビングでそういう場所にタンクを背負っていくヒトはほとんどいらっしゃらないから、観たことがある!という方はかなりの少数派だろう。
というか、仮に出会っていたとしてもオジサンと勘違いしてしまい、気づかずスルーしているかもしれない。
その名のとおりのスジというよりはオビといったほうが良さげな太さの黒い模様は、図鑑やネット上の写真を見るかぎりでは、観られる海域や個体差で多少の違いがある。
オジサンにも2本ほどスジがあるけれど、それらは体の後半部にある。
それに対しフタスジヒメジのスジだか帯は↓この位置に。
また、オジサンに比べるとフタスジヒメジはややズングリむっくり系で、コロッとしているように見える。
エサを探すためには欠かせない2本のヒゲは、オジサンや他のヒメジ類に比べると短めだ(幼魚はバランス的に他種と変わらない)。
オジサンや他の仲間たちが海底の砂礫中のエサを探すためにヒゲを使うのに対し、リーフ上をもっぱらの暮らしの場にしているフタスジヒメジは、砂中をヒゲで探る必要があまりないからだろうか。
とまぁこのようにオジサンとの違いはハッキリわかるのに、これがなかなか出会えない。
まだおじいとおばあで民宿をやっていた20世紀の昔には、おじいに頼まれてサザエ確保のためにしょっちゅうリーフの上を泳いでいたものだった。
その頃にちょくちょく、いやときどき…それでも多いか、ポツポツ……うーむ、どちらかというと稀?とにかく出会っていた記憶はあるのだけれど、当時は今のようなコンデジなどなく、サザエ確保の最中に写真撮影などしていられるはずもなし。
あれから20年。
このヒメジの仲間の稿をまとめるに際し、機会あるごとに相当探してみたのだけれど、一度として出会うことはなかった。
そんなフタスジヒメジと、実に20年ぶりの再会を果たした2020年の夏。
ちなみに、干潮時だったこともあって、水深50cmのリーフ上でのことでした。
タンク背負ってたら行かないわなぁ、フツー…。
※追記(2021年9月)
その年(2020年)の10月にも、まったく別の場所で再びフタスジヒメジに会えた。
前回同様リーフ上でのことで、そのあたりを泳ぐベラの仲間たちと同じように、サンゴの上をスイスイ泳いでいたフタスジヒメジ。
たとえ個体数は少なくとも、いるところに行けばちゃんと会えるのですね…。