全長 4cm(写真は2cmほど)
もう前世紀のことになるけれど、砂地のポイントの深い深い砂底に、ポツンとウミシダがいるのを見つけたオタマサは、さて何かいないかな?とばかり、吸い寄せられるようにウミシダに近寄ってみた。
するとそこに、冒頭の写真のお魚が。
2cmほどのチビで、どうやらテンジクダイの仲間っぽいそのフォルム。
当時の数少ない手がかりを頼りに、イナズマヒカリイシモチのチビではあるまいか、というところまでたどり着いた。
今のようにネット上でいくらでも検索できるわけではない当時のこと、よりハッキリとしたジジツを知るためには、「有識者」に頼るほかない。
そこで、当時当サイトの1コーナーになっていた「瀬能博士に訊こう!」のネタにすべく、瀬能さんにメールにて画像をチェックしていただいたところ、瀬能さんは例によって真摯に対応してくださり、以下のようなご返信をいただいた。
画像、拝見しました。
ご指摘のようにイナズマヒカリイシモチでよいと思います。
もともとニューギニアやインドネシアから記録されている種なので、北限の柏島(※当時)との間で見つかっても不思議ではありませんが、今回の記録は日本では2番目のものとなり、琉球列島からは初記録になると思います。
なんとオタマサ、瀬能博士認定・沖縄県内における初めてのイナズマヒカリイシモチ発見者!!
デジカメの出現と同時に水中観察記録の裾野が広がったこともあって、それからおよそ20年経った今では、ネット上だけでも星の数ほど日本産のイナズマヒカリイシモチの写真がある。
けれど、まだ2000年当時は日本全域ですら2例目だったのだ。
残念ながらその後水納島での2例目、3例目登場の機会はなく(ひょっとすると2例目はあったかも……)、前世紀に撮影された写真しか手元にはない。
昔のように砂地にウミシダがいくらでもいてくれた頃ならいざしらず、今はたとえイナズマヒカリイシモチが流れ着いてくれたとしても、彼らが拠り所とするモノがいないとなれば、この先も再会は望めそうにない。
※追記(2024年6月)
その後もイナズマヒカリイシモチが拠り所にすることができる生き物が復活してくる気配はないものの、今年(2024年)5月にようやく再会の機会を得ることができた。
…オタマサが。
水深35mほどの砂底にポツンと生えているトサカの仲間に、たった1匹だけついていたそうな。
とはいえトサカが全開状態ではなく縮んでいるために拠り所としての機能をうまくはたしていないからか、とにかくカメラに背を向けるポジションに終始するので、唯一横向きになってくれたのは↓この瞬間だけだったとのこと。
砂底じゅうにこのようなトサカが林のごとく育っていれば、流れ着いたイナズマヒカリイシモチたちのサバイバル率も上がるだろうに、いかんせんこの周辺にトサカはこの1本のみ。
依然として彼らが安定的に暮らせる環境にはない水納島のこと、はたして「次回」はあるだろうか?