全長 12cm
体側の黒点がよく目立つ。
その丸い模様からインクがにじみ出したような黒く薄い一本の線のせいで、模様自体が黒い風船のようにも見える。
フウセンチョウチョウウオという名のほうがよかったかも?
この写真の子だけではなくて、どの図鑑を見てもイッテンチョウチョウウオの模様はこうなっているけれど、ペアで泳いでいる2匹を見比べると、多少の個体差があることがわかる。
イッテンチョウチョウウオはサンゴのポリプを食べるチョウチョウウオだけど、いわゆるサンゴ礁を作るミドリイシなどの造礁サンゴ類よりも、イソバナなどのヤギ類やウミキノコ系のソフトコーラルを好むようだ。
そのためか、砂地のポイントの浅いリーフエッジ付近などではそれほど多くは見られない。
多くはないけどまったくいないわけではなく、ときどき仲睦まじい姿を見せつけてくれることもある。
それでもやはりヤギ類があまり多くはない水納島では個体数は多くはないから、オトナのペアに会う機会はさほど多くはない。
ただし毎年シーズン中には、サンゴの枝間を拠り所にしているチビターレにちょくちょく出会う。
500円玉サイズのチビターレは、特徴の「1点」も朧げでカワイイ。
※追記(2020年11月)
近年は砂地のポイントのリーフ上でも上記のようなチビチビをよく見かけるようになってきたなぁ…と思っているうちに、それらチビチビたちが順調に育っているのか、オトナに出会う機会も昔に比べると増えているような気がする。
イッテンチョウチョウウオがペアでいるのもフツーになっている。
とはいえ同じペアを何度も観ているだけかも……。
ところが今年(2020年)のシーズン中には、3匹が一緒になっているところも観た。
ヤギ類などが無ければ無いで、食性を変えているのだろうか?
ただしこの3匹は、けっしてほがらかトリオというわけではない。
どうやら1匹がペアのメスに横恋慕しているらしく、そいつがしつこくつきまとっているようなのだ。
なのでペアの(おそらく)オスは、横恋慕オスを排除しようとし、横恋慕オスもそれなりに歯向かうから、両者はわりと興奮モードになっている。
その際の体色が、普段とは違ったものになっていた。
ウロコ模様が色濃く出ている。
ほんわかと風船が浮かんでいる時は心穏やかな時で、興奮モードになると、心と同じく体色もざわついてくるらしい……。