全長 10cm
リーフ際付近の浅いところで、オウゴンニジギンポとともにフツーに観られるカモハラギンポ。
その暮らし方はオウゴンニジギンポとそっくりで、食事の様子も似ている。
動物プランクトンなどを食べる…と説明されていることもあるのに、これはどうみてもプランクトンではなくベントス食だ。
暮らしぶりがオウゴンニジギンポと似ているカモハラギンポは、若魚の色合いがヒゲニジギンポと良く似ている。
けれど、ヒゲニジギンポの頭部は黄色くなるからひと目で違いがわかるし、そもそも本島近海では稀………
……と、長い間思い込んでいた。
ところがヒゲニジギンポの頭部が黄色くなるのはもっぱら南洋の海での話で、日本では稀なケースだという。
そして日本で見られるものの多くは、白と黒のツートンカラーなのだそうだ。
え!?
では、ずっとカモハラギンポの若魚だと思っていた↓この写真の魚は、本当にカモハラギンポなの??
図鑑の解説を見ると、
「ヒゲニジギンポの腹部は白く、カモハラギンポの腹部は黒い」
よぉーし、じゃあこの子のお腹を観てみよう。
これは……黒……ですよね?
なんだ、やっぱりカモハラギンポなんじゃん。
なんだかゴキゲンそうに笑ってるカモハラギンポ、若いからかそれともメスだからか、ヒゲニジギンポかと見まがうほどに白い部分が多いものもいる。
この子のお腹は……
これもやっぱり「黒い」んですよね?
オトナ(オス?)になると白い部分はすっかり少なくなり、相当黒ずむ。
こうなるともう、見紛いようもなくカモハラギンポだ。
普段は単独で暮らしているオトナたちは、オウゴンニジギンポ同様、春から初夏にかけて、わりと大勢でつるむことがある。
この集会は、おそらく恋の成就にかかわる重大事なのであろう。
やがて初夏ともなれば、いたるところで幼魚を目にすることになる。
ただしこんなに小さいと、イシモチ類のチビなんだか何なんだか、クラシカルアイでは正体不明。
幸い近くにもう少し成長した子がいるおかげで、この激チビもカモハラギンポであることがわかる。
それでも小さすぎて、何が何やらってところだけど、カメラはちゃんと、こんなチビターレの表情を捉えてくれていた。
チビターレもやっぱり楽しそうだった。
※追記(2022年12月)
本文中では「オトナになると黒っぽくなる」と述べているけれど、どうも体色は環境に左右されているらしく、桟橋脇などの浅く明るいところで暮らしているカモハラギンポは、完熟オトナも一様に↓こんな感じだ。
ん?体色はともかく、このカモハラギンポには何かついている?
実はこれ、ウオビルと総称される寄生虫が団体さんで寄生しているもの。
ニジギンポ系専属で寄生する傾向があるらしい。
たくさんのウオビルにとりつかれて悲嘆に暮れているのかといえばさにあらず、元気にウオビルを振り乱して砂底のエサ摂りに精を出していた。
その表情はゴキゲンそのもの。
ウオビルパンクファッションで日々を過ごす、ゴキゲンなカモハラギンポなのである。