全長 10cm
潮通しのいいドロップオフで、エサのプランクトンを求めてたくさん集まるチョウチョウウオ。
プランクトン食のチョウチョウウオ類の場合、餌の奪い合いに時間を割く必要がまったくなく、むしろ中層を安心して泳ぎ回るためにも群れ集まる傾向にある。
ただし水納島周辺にはそのような環境がなかなか無く、かろうじてカスミチョウチョウウオが群れているところに行ってみても、せいぜい↓これくらいがマックスだ。
群れているとついつい「群れ」に目が行ってしまうところ、1匹1匹に注目してみると、かなり大雑把なカラーリングではある。
とはいえ大胆かつシンプルな色分け具合いが、まるで富士山のようでめでたい。
英名はこの模様に着目してはいる。
しかし残念ながらというか当然ながらというか、フジヤマバタフライではなく、ピラミッドバタフライフィッシュと呼ばれている。
富士山であれピラミッドであれ、この色彩で群れ泳いでいる様子は壮観だ。
その昔学生の頃、アポガマというポイントにビーチエントリーで潜った際、我が目を疑うほどのカスミチョウチョウウオの大群がリーフ外縁を彩っていた。
後にも先にもカスミチョウがそれほど群れていたのはその時くらいのもので、当時よく一緒に潜っていた友人は
「1年分のカスミチョウを観た」
と喜んでいたものだった。
その後本島の海がどのようになっているのか、水納島以外で潜っていないから詳しいことは知らない。
今もなお、たまにはカスミチョウの大群など観ることができる海が残されているんだろうか……。
ひょっとすると1年分じゃなくて、一生分観てしまったのかも。