全長 60cm(写真は6cmほどの幼魚)
コショウダイの仲間のなかでは最も温帯域に適応し、釣りの対象魚としても各地で活躍しているコロダイは、釣り人にとって憧れの魚であるらしい。
なんでも聞くところによると、投げ釣りではマダイ、ハマフエフキと並んで「夜の三冠王」と呼ばれているそうである。
そんな釣りの対象魚としての付き合いはまったくなかったけれど、そういえばかつて伊豆で週末ダイバーをしていた頃に、小さな幼魚をたびたび見たような記憶がある。
ただし伊豆で観たコロダイの幼魚は上の写真のような白と黒ではなく黄色と黒なので、ゴンズイの幼魚に擬態しているかのように思えた。
砂地が白いと幼魚の色も変わるのだろうか。
いずれにせよ、他のコショウダイ類には観られない、背ビレを高々と掲げるポーズがカッコいい。
もっとも、水納島では幼魚もオトナも、出会う機会は少ない。
オトナに出会ったことがあるのかどうか、記録がないので記憶は甚だ朧ながら、若魚には出会ったことがある。
この子はしばらく同じ場所に居てくれたものの、その後は若魚にもオトナにも出会ったことはない。
その点幼魚のほうが出現率は高い。
といっても、浮遊生活を終えて海底にたどり着いたばかりの頃はこんな姿をしている。
ちょっとした小岩の陰やガヤの傍で、やはりクネクネしている極小チビターレ。
しかしその姿は、見慣れたコロダイの幼魚とは似ても似つかない。
そのため昔はアジアコショウダイのチビだと誤解していて、このチビターレがコロダイのチビだとワタシが知るに至るまで、随分時間がかかってしまった。
このチビチビがコロダイのチビだとわかったのは、ここからもう少し成長したチビに出会えたからこそ。
こうなると見慣れたコロダイの幼魚に近くなる。
もう少し成長すると……
おなじみのフォルムになる。
ここまではそれぞれ別個体ながら、この写真の子の3か月後の姿が一番上の写真だ。
水納島では、若魚やオトナに会えない以前に、このお馴染みの幼魚に出会うことも稀だ。
もっと小さなチビチビにはそれなりに出会えることを考え合わせると、ここまで育つまで生き残れない事情があるのかもしれない。