全長 8cm
水納島の砂地を潜れば、フツーに会えるクロエリオオメワラスボ。
フツーにいるというけど、観たことがない…
…という方は、一度砂底で腹這いになるくらい低い姿勢になって、静かに前を見てみてください。
砂底から10〜20cmほど上でホバリングしているクロエリオオメワラスボの薄ぼんやりと白く細長い姿が、ポツンポツンと見えてくるはず。
水納島の砂地で観られる他の魚たち同様白い砂底仕様の色になっているから、海底の砂の色が濃い海にいるクロエリオオメワラスボをご存じの方は、まったく別の魚に思えるかもしれない。
そこは近づきながら脳内変換でカバー。
ただし迂闊に近寄ると、矢のような速さで砂地に突き刺さり、姿を消してしまう。
一端避難しても、そろそろほとぼりが冷めたかしらん?と思うのか、その避難場所からまるでチンアナゴのようにヒョッコリ顔を出すこともある。
どうせすぐに引っ込んじゃうんだろう……と期待せずに撮っていると、けっこう近くまで寄らせてくれた。
最終的には砂中に姿を消したものの、シュッと素早く引っ込んでしまうのではなく、徐々に徐々に、最後は顔だけ残しつつ、ゆっくりと引っ込んでいったクロエリオオメワラスボ。
チンアナゴとは違い、バックで進むのは不得意らしい…。
ホバリングしているときでも、ゆっくり近づけば随分近寄れる。
ただしこれといったアクションがないから、近づけてもあまり面白くないなぁ……
…と思いきや、
なにげにアクビをしてくれることもある。
こんな小さな写真じゃ顔がよくわからないので、クローズアップ。
パカッと大きく開いた口。
なるほどたしかに、他のハゼ類の筒状に広がる口とは随分異なっている。
ちなみに普段はこんな顔。
受け口の下顎がけっこうガッシリしているところを見ると、なにげに肉食系プレデターなんだろうか?
とまぁ、彼らがいったい何を普段食べているのかということすら知らないくらいだから、オスとメスはどのように出会っているのか、恋の季節はいつ頃なのか、その際彼らはどうなるのか、といったことについては、付き合いが長いわりにはまったく知らない。
こんなにフツーにいるのだから、それっぽい何かを観たことがあってもおかしくないのに。
ひょっとして、すべての「コト」は地中で行われていたりして……。
< それはない。