全長 20cm
沖縄の砂地のポイントには欠かすことのできない存在のヨスジフエダイは、一部のベテランダイバーにとっては見飽きた感を持たれる魚のため、ともすれば「ふ〜んヨスジフエダイね…」でスルーされることもある。
そうやってスルーするようになってしまうと、意外な出会いを見逃すことになるかもしれない。
ヨスジフエダイに紛れていることがある、ベンガルフエダイやロクセンフエダイで安心していてはいけない。
かつてはキンセンフエダイが混じっていたこともあったけど(残念ながら写真記録が残っていない…)、近年はキュウセンフエダイがコンスタントに(それでも1〜2匹だけど)ヨスジの群れに紛れ込んでいたりする。
よく似すぎているから、居たとしてもわかんないよ……という方もいらっしゃるかもしれないけれど、ヨスジフエダイと一緒に居れば、両者の違いは一目瞭然だ。
手前がキュウセンフエダイ。
この違いにひと目で気づければ、多数の中に1匹だけ混じっていてもすぐに気づくことができる。
小さな写真だけど、キュウセンフエダイがどこにいるか、もうおわかりですね?
チビターレもまた、根につき始めたばかりくらいのヨスジフエダイの幼魚たちに混じっていることがある。
ロクセンフエダイのチビターレと同じ場所に眼状斑は一応あるようながら、5cmほどの時点でほとんど見えないくらいになっていた。
ところで、図鑑などで目にするこの魚の写真は、たいてい群れ集っている。
それは撮影地が沖縄よりもより分布域の中心に近い南洋の海外だからだろうと思われ、沖縄県内で撮影された「群れ」の写真は見たことがない。
ところが図鑑には、岸壁での釣りなどでよくかかる、と書かれているものもあり、となると個体数は多いのだろう。
よく釣られる魚なのに、なぜに海で出会える機会は少ないのだろう?
住んでいる場所が、通常のダイビングポイントとは異なるのだろうか。
少なくとも水納島では、本種のみの群れを観ることはない。
出会うためには、ヨスジフエダイの群れを丹念に眺めなければならないのである。
ヨスジフエダイは見飽きた…なんて言っていたら、永久に出会うチャンスはないだろう。
※追記(2019年12月)
この年(2019年)の秋のこと、砂地の根の物陰に隠れるような場所に、黄色いフエダイ類のチビチビたちが集まっていた。
ヨスジフエダイやロクセンフエダイに混じって、キュウセンフエダイのチビの姿も。
5cmくらいだったけれど、まだ眼状斑がクッキリ残っている。
もう1匹同じくらいのチビがいて、2匹ともヨスジフエダイやロクセンフエダイのチビたちと仲良さげに混泳していた。
小さな頃からこうしてヨスジフエダイやロクセンフエダイと一緒に過ごして大きくなっていくんだもの、オトナになっても一緒に群れていたいよね。