水納島の魚たち

メジナ

全長 30cm

 今夏(2024年)、普段よく訪れるリーフ際で、これまで見かけていなかった魚をいつも目にするようになっていた。

 ひときわ目を引く派手派手ボディというわけではなく、いたって地味地味ジミーな冴えない色味の魚なんだけど、これまで認識したことがない。

 なのでずっと気になっていたところ、8月も下旬になってようやくコンデジで証拠写真を撮る機会を得た。

 よくオキナメジナと一緒にいるし、色形も似ているからきっと仲間なのだろうと見当をつけて調べてみたところ、どうやらこの魚はザ・メジナっぽい。

 上の写真ではくすんだ色になっている尾ビレはもっと白い時もあって、なおかつそっくりなクロメジナにある鰓ブタ近くの線が入っていないから、おそらくメジナで間違いないと思う。

 その後もずっと同じ場所に居続けてくれているから、同じコンデジながらももう少し気持ちを込めて撮ってみた。

 すると、この時は尾ビレが黒っぽくなっていた。

 警戒して逃げている時などは、こういう色になるってことなんだろうか。

 そこでハタと気がついた。

 これまでも目にしたことはあっても、ずっとオキナメジナの若魚だと誤認識していたのかも。

 この魚がよく一緒にいるオキナメジナは二回りほど大きく、オトナの体にはわかりやすい模様もある。

 この時はそのオキナメジナも、ワタシを警戒して同じ穴に避難していた。

 おお、同じ穴のメジナ!

 というか、この模様が無かったらほとんどメジナじゃん…てなところ。

 でもこの日両者を同じ場所で見比べていたところ、模様だけではなく、その顔つきもまたまったく異なっていることに気がついた。

 特に口元。

 ザ・メジナはけっこうマジメ顔なのに対し…

 オキナメジナは…

 …かなりのオチャラケ顔。

 こんだけ口元が異なっていれば、ザ・メジナと思われるこの魚が、まさかオキナメジナの若者ということはあるまい。

 せっかく新顔を初認識できたのだから、彼がいてくれるうちにちゃんとしたカメラでもう少しちゃんと撮っておきたいなぁ…

 …オキナメジナの口元も含めて。