25cm(写真は12cmほど)
水納島には陸水環境が無く、海に流れ込む河川がないので、いわゆる「河口域」の内湾的環境がない。
そのため汽水環境を好んで暮らす魚たちは少ないのだけれど、桟橋周辺は水が淀む人工的内湾環境になっているためか、同じリーフ内でも他の場所では観られない魚たちと出会える。
このミナミクロサギもそのひとつ。
沿岸域の浅いところを好むミナミクロサギは、おそらく渡久地港あたりのほうが多いのではなかろうか…という感じなんだけど、海水浴エリアや桟橋脇などに1匹2匹がチラ…と姿を見せることがあるのだ。
…と、あたかも昔からミナミクロサギという魚の存在を知っていたかの如くエラソーに述べているけれど、恥ずかしながらこの魚がクロサギの仲間であることを知ったのは(思い出したのは?)つい最近のことだったりする。
それまでワタシはなぜだかこの魚をヒイラギの仲間と勘違いしていて、ヒイラギの仲間をいくらサーチしてもビンゴ!が出てこないから長らく正体不明になっていた。
ところが今秋(2022年)桟橋脇で潜っていたときにまだ10cmちょいの若魚の姿があり、とりあえず撮ったものを後刻PC画面で眺めながら、懲りずに「ヒイラギの仲間」でサーチしてまたエンドレスループにハマっていたところ、傍らにいたオタマサが「セッパリサギの仲間なんじゃないの?」とのたまった。
ん?サギ?
あ゛!!
クロサギじゃん、この魚!
ようやく「クロサギ」の存在を思い出したのだった。
それにしても、10人中15人くらいは知らないと思われる「セッパリサギ」なんて名前がこういうときに例として出てくるあたり、オタマサのタダモノではなさぶりがうかがえる。
もっとも、タダモノではなさすぎるあまり、周り回ってタダモノ以下のポジションになっている気もするけれど…。
で、これが20世紀の世であれば「クロサギ」ということでめでたしめでたしだったところ、1999年になってクロサギからミナミクロサギが分離独立してしまい、沖縄で観られるものはミナミクロサギということになった。
分類学的にウロコの数だ棘の数だなんだかんだに有意な差異があるのだろう。
でも水産資源的にも釣果の世界でも、クロサギとミナミクロサギをわざわざ分けることはないようで、ともに美味しい魚として認識されている。
というわけでようやく正体が判明したミナミクロサギ、あいにくウロコが反射率200パーセント仕様のために、ついつい真横から撮るとミラーボール化してしまう。
だからといってコンデジで自然光で撮ってみると…
なんだか冴えない魚になってしまう。
ホントは少し斜め前くらいから撮ればいいのだろうけどなかなかそういうわけにもいかず、正面から撮ってみると…
おお、なかなかかっちょいいじゃん。
クロサギやミナミクロサギは釣果の画像ならいくらでもネット上にあるのに対し、水中で撮られた画像となると数えるほどしかない。
このように正面から見た画像なんて、おそらく地球上にこの1枚なのではあるまいか…。
おお、世界初じゃん。
内湾環境の浅いところが好きな魚だけに、おそらく水納島では桟橋周辺くらいにしかいないかもしれない。
しかも若魚だからか、彼がずっといたのはこんな波打ち際だ。
ボートダイビングを楽しむ方々には間違いなく無縁の場所だ。
むしろビーチで海水浴をしているみなさんのほうが、出会う機会は遥かに多いはず。