全長 7cm(写真は3cmほどの幼魚)
メタリックな輝きを放つこのモンスズメダイのチビ、尾ビレその他に黄色が入ってなかなか美しい。
もっと小さい頃は↓こんな感じ。
輝き具合が繊細だ。
逆に冒頭の写真からもう少し成長すると…
背ビレの黄色味は薄れるものの、尾ビレがスラッと伸びてカッコよくなる。
このままビューティホー街道まっしぐらかと思いきや、さらに成長すると…
あれ……なんかイヤな予感が。
そして……
黄色味が少なくなっていき、体は黒っぽくなっていくのがわかる。
4〜5cmほどの時期が背ビレや尾ビレに黄色味が残っている限界らしく、やがて…
…黄色味は先端部分だけになる。
この頃までのモンスズメダイはサンゴに寄り添った生活をしているのだけど、もっと成長すると中層に集まるようになる。
その頃には……
子供の頃の面影は、すっかりなくなっている。
こうなるともう、どれほどたくさんいてくれようとも、注目しようというヒトはいなくなる。
ただ、容姿は地味でも、彼らの生態はとっても興味深い。
水温が温かくなって繁殖期を迎えると、オスは礫混じりの海底に、キチンとほぼ円形に整えながら産卵床を作るのだ。
尾ビレを使って礫を払いのけ、場を平らかにしていくオス。
礫底にクッキリと直径30〜40cmくらいのサークルができあがっている様子は、まさか魚のシワザとは思えないほどに人工的に見える。
オスはその産卵床にメスを誘って産卵を促し、ペアで産卵行動をとる。
このときの様子はまるでワルツでも踊っているようで、産卵床の上をクルクル回りながら卵を産み付け、オスが受精させる。
面白ことに、メスがしつこいくらいにずっと卵を産んでいるのに対し、オス(興奮色で尾ビレまで黒くなっているほう)の放精作業(?)はなんだか実にアッサリしている。
巣作りに励み過ぎて、肝心のところで淡泊になっちゃうのだろうか。
ちなみに、彼らの卵は粘性を持たせた砂をまぶした状態になっているため、産んでいるはずの場所を撮ってみても、いったいどこに卵があるのかさっぱりわからない。
一見しただけではどこにあるかわからない卵は、オスが保育する。
ただしミツボシクロスズメダイと違ってモンスズメダイは警戒心がそれなりに強く、卵を世話しているところを撮ろうとしても、すぐに逃げてしまう。
近寄る他の魚は果敢に追い払いはしても、勝てない相手には無理はしない、ということなのかも。