水納島の魚たち

モンツキスズメダイ

全長 6cm

 特にスズメダイに偏執的な興味を持っているわけでもないかぎり、リーフ際でヒラヒラと群れ泳ぐ、もしくはパラパラと見え隠れしているスズメダイ類は、みなひとまとめに「スズメダイたち」で済ませられてしまいがちだ。

 モンツキスズメダイもそのような「スズメダイたち」の仲間で、ごくごくフツーにリーフ際でも観られるのだけれど、圧倒的な巨群を作るわけでもなく、サンゴの傍や岩肌近くに複数がパラパラ…といる程度だ。

 そのうえ体色もパッとしない。

 モンツキスズメダイを目にするなり目の色を変えて熱心に注目するヒトなど、これまで見たことはない。

 ところがとある正月潜り初めの日に、なぜだかあえて注目してみたところ、なぜだかけっこうな頻度でアクビをすることに気がついた。

 冒頭の写真もこのときのことで、ほとんど間をおかずにアクビを連発していたモンツキスズメダイ。

 正月のことだけに、朝から御屠蘇でいいコンコロもちってところだったのだろうか。

 こうしてアクビでもしてくれないかぎり気に掛けることも少ないモンツキスズメダイながら、幼魚に注目してみると、意外にその美しさを堪能できたりする。

 名の由来である紋付き以外、とりたててなんの模様もないけれど、小さな魚をクローズアップする際につきものの、体中に散りばめられた銀河の星星のような色彩の粒子が美しい。

 ……こんな小さな写真じゃわからないか。

 局部(?)アップするとこんな感じ。

 地味な魚に見えても、そこにはフェルメールもかくやというほどの光の粒子が満ち溢れているのだ。

 こんなディテール、35mmのポジフィルムをルーペで見ていただけではけっして味わうことはできなかった。

 それもこれも、高解像度の画像をモニターで楽しめるデジタルのおかげだ。

 初夏以降に出現してくるチビターレたちだから、極チビを求めるなら6〜7月がチャンスです。