全長 100cm
齢400年を超えるゾウガメにも似た、賢者の風貌を持つモヨウキカイウツボ。
見ようによっては、入れ歯がはずれたおじいのような…とも言えなくもないけれど、世の中の酸いも甘いも、すべて噛み分けているに違いない。
90年代になって座間味かどこかで発見されて初めて和名がつけられたウツボで、発見当初は業界的にそれなりにフィーバーがかかっていた。
しかしながらいつしかその栄光も過去のものとなり、今ではひっそりとサンゴ礁の浅所で暮らしている。
このモヨウキカイウツボもゼブラウツボ同様、いやそれよりもさらに浅いところを好むので、水納島の場合、通常のボートダイビングでは出会う機会はほとんどないといっていい。
よそでも同様だからなのか、図鑑ではいまだに稀種扱いされていることもあるようだけど、ゼブラウツボと同じく、スノーケリングのゲストをご案内している際やターボスネイル生息密度調査をしているときなど、リーフ上の浅いところを泳いでいるとチョコチョコ出会える。
もっとも、そういうときにはカメラを携えていないので、これまたゼブラウツボと同じく、なかなか写真を撮るチャンスに恵まれない。
ちなみにモヨウキカイウツボは老成すると、目の上の瘤のようなぼんぼりのようなものがもっと大きくなり、顔つきもますます不思議的魅力を醸すようになるらしい。
水納島で普段出会うのはたいてい写真くらいのサイズだから、老成個体はいまだ観たことがない。
出会えたとしても、その時カメラを手にしている可能性は低いけど…。
※追記(2020年12月)
昔撮ったポジフィルムの海を散策していたところ、全身ではないにしろ、体の部分がもっと移っている写真を発見した。
美しい…という言葉とは無縁そうなそのボディ、「珍しい」という付加価値でもなければ、なかなか注目されそうもないか??