全長 30cm(写真は3cmほどの幼魚
ミヤケベラ同様、地名を冠したベラの1種、ニューギニアベラ。
「ニューギニアベラ」と唐突に言われても、だからどうしたというしかない地味なベラ。
でも一昔前には今のような変態社会人御用達フィッシュではなく、一般社会ダイバーの間でも一瞬だけ一世を風靡したことがあった。
このベラを見て喜んだ人がけっこういた、という歴史を持っているのだ。
ミヤケベラと同様にこのベラも、名に冠しているからといってパプアニューギニアにだけウジャウジャいるというわけではないらしい。
そして、やはり南洋が主生息域らしく、沖縄では見かける機会は少ない。
しかし少なくとも水納島では、ミヤケベラに比べればその頻度は高い。
高いだけではなく、けっこう地道に定着している様子がうかがえる。
冬の間に見かけることもあるし、同じ場所でいつも見られるヤツもいる。
もともといなかったものが最近定着し始めたのか、そもそも個体数が少ないベラなのか、そのへんのところはよくわからない。
少なくとも、↓これくらいに成長したオスっぽい個体も、たま〜に観ることがある。
…と書いていた時代から10年近く経った今(2019年)。
いつの間にやら出会う頻度は、圧倒的にミヤケベラのほうが多くなっている。
ニューギニアベラときたら、1年に1、2匹観られればいいほうで、それもゲストをご案内中の時ばかり。
おかげでデジイチを使うようになってからニューギニアベラを撮ったのは、2012年の↓この時だけときたもんだ。
撮った時の記憶はまったく無いのでこれがどれくらいのサイズだったかわからないものの、鰓ブタのところの眼状斑がまだ無いところを見ると、3cmほどのチビターレと思われる。
当時はきっと、人生最小級だなんだと1人で盛り上がって撮っていたに違いない。
まさかその後こんなに会えなくなるなんて、夢にも思っていなかったことだけはたしかだ(その当時すでに会えなくなっていたのにまだ気づいていなかっただけともいう)。
※慌てて追記
上のチビターレの写真が最後と思っていたら、そのひと月後に別の場所で別のチビを撮っていた。
同じくらい小さく見えるけど、鰓ブタ付近にはクッキリと眼状斑が。
年に2個体撮っているくらいだから、やはりまだ当時はわりとフツーに見かけていたのかもしれない。
以上、追記終わり。
聞くところによると、屋久島あたりではニューギニアベラがオスからメスから幼魚からわんさか見られ、ハレムまで作って繁殖行動まで見せているという。
屋久島の海に昔からいたのか最近になって増えてきたのかわからないけど、昔はよく居たのにすっかり減っちゃった感満載の水納島からすると、南方からやってくるニューギニアベラの配送ルート(?)がバイパス化し、水納島近辺は素通りされるだけの海になってしまったような、過疎地域的サビシさが……。
はたして水納島のニューギニアベラにも、ミヤケベラのようにバブルになる日が来るだろうか?
昔はせいぜい「珍」ひとつくらいだったはずなのに、今や会いたくても会えない魚となった以上、やはり……
※「珍」マークは3つが最上級です。
※追記(2021年2月)
その後2020年6月に、久しぶりにニューギニアベラのチビターレと会えた。
リーフエッジのサンゴの枝間で見え隠れしていたこのチビターレは、せいぜい2cmほどで、おそらく人生最小級だ。
かなり小さいだけに、しばらくの間居続けてくれるかと期待していたのだけれど、あいにくその次訪れたときにはすでに姿は無かった。
ニューギニアベラが水納島で少ない所以だろう。
年が変わって2021年の冬には、まったく別の場所で10cmほどのオトナのメスっぽい子に遭遇した。
その昔の水納島でニューギニアベラといえば、たいていこれくらいのサイズだったような記憶があるけれど、近年ではやっとこさここまで育ったものにはすっかり会えなくなっていたから、かなり久しぶり。
昨年のチビといいオトナのメスといい、この流れからすると、ひょっとして今後しばらくはニューギニアベラ祭りになるかも?
※追記(2022年12月)
今年(2022年)は全然見かけませんでした…。