水納島の魚たち

ニセクロスジイソハゼ

全長 2cm

 崖状になっている岩場の深いところは照度が低く、ライト無しのクラシカルアイでは、薄暮の時間帯の車の運転と同じくらいモノが観づらい。

 そんな場所でホシクズベニハゼを撮ろうとしたとき、そばに見慣れない(ように見えた)ハゼもいたので、深いところならではのハゼかも!と思って撮ったら、もっともっと浅いところにもいるニセクロスジイソハゼだった。

 しかもエラのところに寄生虫らしきものがポコッとついている。

 でもデジイチになってから撮った過去写真を振り返ってみたところ、記録に残しているニセクロスジイソハゼの写真はこの1枚のみ。

 ジジツが示すエビデンスだけだと、このイソハゼは水納島では少ない、ということになってしまいそうだけど、けっして少なくないはず。

 というのも、このニセクロスジイソハゼとクロスジイソハゼを肉眼で見分けろと言われても、両者の違いといえば……

 …尾ビレ付け根の黒い点。

 ひとつだけだとクロスジイソハゼで、2つに分かれていたらニセクロスジイソハゼ。

 ただしこうして写真で見れば一目瞭然ながら、こんな小さな魚の小さな点なんて、クラシカルアイに見えるわけがない。

 なので、たとえ目にしていても、ワタシは全員クロスジイソハゼ認定しているかもしれないのだ。

 どっちにしても撮ってないからたしかなことは不明ながら、イメージとしては、サンゴの上にチョコンと載っていることが多いのがクロスジイソハゼで、なんてことのないところにチョコンといるのがニセクロスジイソハゼ…

 …と、ザックリと理解しておいても、撮った写真を見れば7割くらいの確率で正解になるかもしれない。

 とりあえずニセクロスジイソハゼは、寄生虫がついていないものもちゃんと撮っておこう…。