50cm(写真は30cmほど)
秋からの軽石騒ぎでボートを水納島に浮かべたままにできなかった2021年〜2022年の冬場は、例年になくビーチその他リーフ内で潜る機会が多かった。
他の稿でも触れているように、リーフ内では普段のボートダイビングでは観られない魚に会えるのだけど、この魚は存在すら知らないまったくのノーマークだった。
海水浴場エリアのキワくらいのところでのんびり泳いでいたブダイに注目することができたのは、昨年ずっとベラベラブダイバーになっていたおかげ。それ以前だったら間違いなくスルーしていたことだろう。
ベラベラブダイバーだからといってすぐさま種類がわかるわけではないにしろ、「見たことがない」ということくらいはわかる。
そんな「見たことがない」ブダイが、3匹ほど海水浴場ギリ外くらいのところでウロウロしていた。
サイズのわりに浅いところ限定、リーフの内側限定といったものがわりといるブダイたちだから、こういうエリアラブな種類なのかもしれない。
過去のことはいざ知らず、少なくともベラベラブダイバー後は初遭遇であることは間違いないから、とりあえずパシャ…と撮ったのが冒頭の写真。
はてさて、このブダイはいったい誰?
後刻調べてみたところ、どうやらこれはオニハゲブダイらしい。
鬼でハゲで醜な鯛だなんて、冷静に考えるととんでもなくひどい扱いを受けているこのブダイは、「ベラ&ブダイ」図鑑によると
日本では稀種
とされている。
そのわりにネット上では沖縄本島で撮影されている写真が散見され、その場所ではさして珍しい扱いではないように見受けられる。
はてさて、どういうことだろう?
美ら海水族館のウェブサイトのこのブダイを紹介しているページによると、
沖縄本島周辺では、特定の海域で生息が確認されているものの、あまり見られない珍しい種類である。
とのこと。
なるほど、ひらたくいえば、居るところには居るけれど、その「居るところ」がそれほど多くはないよ、ということか。
ということは、水納ビーチもその栄えある「居るところ」に堂々ランクイン!
なにしろフツーに井戸端会議をしているくらいだもの。
立派に育ったオスは50cm超にもなるそうで、同じハゲブダイ属のナンヨウブダイのようにおでこが張り出すフォルムになるという。
ここで観られたみなさんは30cmほどと小柄で、みんな額のラインが穏やかだから、メス(の姿)のようだ(姿はメスでもどれかはオスかもしれない)。
それにしても、目と鼻の先のビーチエリアで人生初遭遇(初認識)の魚。
たとえこの先100年潜り続けたとしても、個人的新発見は永遠に途切れることはないだろう。