全長 60cm
大型のガーラであるオニヒラアジは、朝夕に桟橋脇に集まっているミジュンなどの小魚を狙って水路から入って来るということはあるのかもしれないけれど、水納島のファンダイビング中にはそうそう出会える魚ではない。
ところが2011年のシーズン中に、50cm超サイズの3匹のオニヒラアジたちが、どういうわけだか同じ場所に居座り続けてくれた。
その年はグルクンのチビたちが多く、それらが育って若魚となり、根の近くで大きな群れを作っていたから、エサが豊富なことに気を良くしてしばらく滞在することにしたのかもしれない。
なかなか出会えないアジではあるけれど、オトナになった彼らを見分けるのは簡単だ。
エラ蓋の上のあたりに、水中でもけっこう目立つ白い点が目印になる。
ただでさえ海中で観る50cmの魚となると相当大きい印象があるところ、こういった回遊魚系とはそうそうお目にかかれない水納島で出会ってしまったら、アタフタしている間に眼前を通り過ぎてしまい、結局今の魚ななんだったんだろう?なんてことになることが多い。
でもこのホワイトスポットにさえ気がつけば、もうその正体で思い悩むことはない。
もっとも、短期間ながらも同じポイントに居座り続けてくれたオニヒラアジたちは、ダイバーを恐れるふうはなく、むしろ興味深げにグッと近づいてくるほど。
この稿で使用している画像は、実はこの動画からのキャプチャーだったりする。
この年居続けてくれた3匹のおかげで「オニヒラアジ」なる存在を知った我々だから、実はそれ以前にもチラホラ出ていたかもしれない。
でもその後チラ…くらいの登場はあっても、この3匹のようにいつ行っても会えるほど同じ場所に居続けてくれたオニヒラアジはいない。
ただし。
小魚を狙ってリーフ内に入ってくるものたちはいるらしく、一昨年(2018年)の夏には、ハンター梅さんのおかげでこんな姿で再会することができた。
鮮度の高いオニヒラアジは、噛み応えがややワイルドライフなところもあるので、一晩寝かせるなどして食すと抜群のお味になる。
こいつぁ、美味い。
「オニヒラアジ」でネット上で画像検索をしてみても、ほぼほぼ釣果もしくは料理の写真になる理由がここにある。