全長 40cm
この属の魚たちのなかでは、とにかく格段にでかい。
そして渋めの体色が、オトナの雰囲気を醸し出している。
にもかかわらず仲間内では最も臆病で、なかなかじっくりその姿を拝ませてはくれない。
ホンソメワケベラのクリーニングケアを受けているときですら、最初から「いつ逃げようか…」ということしか考えていなさそうに見える。
タテキンやサザナミが単独でいることが多いのに対し、ロクセンヤッコは仲良くペアで行動を共にしているほうが圧倒的に多い。
ビビリだから、2人でいればコワくない…ってことなんだろうか。
ただし持ち前の警戒心の強さのため、こちらが彼らを察知した頃には、早くも逃げの準備に入っていたりする。
かつての水納島では、ロクセンヤッコといえば岩場のポイントで観られる魚というイメージだった。
ところがここ10年くらいの間に(2017年現在)、どういうわけか砂地のポイントでも目にする機会が随分増えた。
岩場で出会う際はほぼペアなのに、砂地のポイントではたまに1匹で過ごしてるものにも出会う、という違いはあるけれど、いずれにしてもオトナのサイズはでかいから、それに応じてナワバリの範囲は相当広いのだろう。
砂地の各ポイントでちょくちょく目にするようになったとはいっても、ひょっとすると同じペアを別の場所で観ているだけなのかもしれない。
写真のロクセンヤッコは、たまたまこの時砂地の根に1匹でいた。
ロクセンヤッコとムレハタタテダイの競演なんて、ムレハタタテダイの群れが姿を消してしまって久しい今では、なんともゼータクな風景だ。