4cm
4月だから、まだヘビギンポの仲間たちがバリバリの婚姻色姿を見せてくれるかな…と期待して、リーフが入り組んでいる浅く暗いオーバーハング下で岩肌を眺めていた時のこと(2022年)。
あいにく急激に水温が上がったためか、ヘビギンポたちはみんな通常モードの姿だったかわりに、思いがけない魚に出会った。
リュウキュウニセスズメのオスだ。
リュウキュウニセスズメといえば、前世紀のその昔に初めて出会った魚だ。
当時はまだおじいとおばあの2人で民宿大城を営んでおられ、民宿で出すためのターボスネイル調達をよく依頼されていたから、リーフ上の浅いところをガシガシ泳ぐ機会が多く、岩肌の窪地に空いた穴から出入りする瑠璃色と黄色の小さな魚の姿を目にした瞬間、ターボスネイルなどそっちのけで、慌ててボートに戻ってカメラを手にして戻ってみたものの、そのあとはまったく姿が見えず。
とんでもなく珍しい魚の証拠写真をまったく残せなかったことが無念でならなかったものの、それが実はリュウキュウニセスズメという世間一般で既知の魚で、オスの婚姻色バージョンであったことを知った。
とはいえなにせ場所が場所だし、出会う時といえばターボスネイル調達時くらいのもので、そのうちリーフ上の浅いところでカメラを構えているときに出会うこともあるだろう…と言っているうちに四半世紀以上過ぎてしまった。
そんなリュウキュウニセスズメが、今目の前に!
リーフエッジ下のこのような場所にいるものなんでしたっけ、リュウキュウニセスズメ。
しかも、出てきてもすぐに引っ込むはずの彼なのに、チョコマカしつつも長時間外に出っぱなしになってくれている。
これは我が人生における、リュウキュウニセスズメ最大のチャンス!
あいにく婚姻色ではないものの、こんなところにいてくれたおかげで、なんとか写真記録を残すことができたのだった。
実に四半世紀以上ぶりの念願成就である。
それもこれも、リュウキュウニセスズメが柄にも無く(?)わりと長い時間外に出続けてくれていたからこそなんだけど、普段からいつもこれくらい外に出るんだろうか。
それは不明ながら、この時には、そのきっかけを作ってくれていたかもしれない魚がいた。
これはたまたま2匹がこのように重なったのではなく、オスから声が掛かるのを今や遅しと待ち続けているらしきフタイロカエルウオのメスが、チョロチョロするリュウキュウニセスズメにしつこく絡んでいたのだ。
それを繰り返してくれるものだから、おかげでツーショット。
バリバリビューティホーな婚姻色のリュウキュウニセスズメの写真は世の中に数あれど、フタイロカエルウオとのツーショットはそうそうあるまい…。