全長 25cm(写真は3cmほどの幼魚)
海の中で出会える魚のなかで、特にアイゴの仲間が大好き!
…というヒトに会ったことはない。
恥ずかしながらワタクシも、随分長い間水納島でフツーに観てきたアイゴ類の写真をほとんど撮っていなかった。
近年そういったサイズの魚を撮りやすい画角のレンズを使えるようになってからは、まずは派手目のアイゴの仲間たちを撮ってみようという気になった。
が。
普段特に意識していない時はすぐそばでフラフラのんびりしているように見える彼らなのに、いざ注目してみると、なんとまぁ警戒心の強いことか。
水納島で派手目のアイゴ類といえば、ヒフキアイゴにヒメアイゴ、それにこのサンゴアイゴをよく見かけるのだけれど(マジリアイゴを観たことがあるのかどうか記憶がアヤシイ…)、その3種類の中でサンゴアイゴは最も警戒心が強い。
ヒメアイゴやヒフキアイゴなら、カメラを向けてさえいなければわりと近寄れることもあるのに、サンゴアイゴのお高く留まり度は半端ではない。
以上、オトナの写真が1枚も無いことのイイワケ。
オトナの写真は無いけれど。
2016年の真夏に、オタマサがサンゴアイゴのチビターレを発見した。
それも砂地のポイントの水深20mほどの根で。
そんなところにアイゴ類のオトナがいることはまずないから、このチビチビは何かの拍子にたまたま流れ着いてしまったのだろう。
まだ若いキンギョハナダイよりも遥かに小さなサンゴアイゴチビターレは3cmくらいで、スクガラスにするにはいささか大きくなりすぎている。
すでに食事をするようになってもいたようだ。
エサを食べていようが何をしていようが、こんなに鮮やかな黄色のチビターレとの遭遇なんて初めてのこと。
ワタシはすぐそばで群れているキンギョハナダイの群れを撮っていたから、ワイドレンズでの撮影はムリにしても、せめて肉眼で観ておきたいところ。
その意を汲んだオタマサが、サンゴアイゴチビターレの存在を教えてくれ…
…はしなかったのだった。
すぐそばで撮っていたにもかかわらず、ワタシの存在に気がつかなかったらしい……。
なんでこんな小さなアイゴのチビには目が行くのに、そばで泡を吐き出しながら写真を撮っているダイバーに気がつかないんだろう……?
さすが視野前方30度限定世界の住人だけある。
しょうがない、では次回訪問時に観るとしよう、と思ったら……
GONE。
サンゴアイゴチビターレは、この時かぎりの一期一会だったのだ。
よく観れば顔つきもなにげに可愛いチビターレ、やはり本来の生息環境じゃないだけに、サバイバルは厳しかったのだろうなぁ…。
というわけで、ワタシは結局海中で観ることがかなわなかった。
ならばオトナのペアでも……
…と頑張っても、警戒心が強すぎて永遠に近づけなさそう。
はたしてオトナの写真を撮ることができる日は来るのか。
「追記」を待て。
※さっそく追記(2020年12月)
コンデジパシャ写真ながら、ついにオトナの姿を捉えることができた。
それも砂地のポイントのリーフ際で。
岩場のポイントの場合、彼らの生息環境は砂地のポイントのリーフエッジ付近よりも遥かに広いから、逃げるとなるとどんどん遠くまで行ってしまうのだけど、砂地のポイントのリーフ際ではそうもいかないようで、同じ場所で行ったり来たりを繰り返してくれた。
チビターレ同様黄色一色に見えるけれど、よく見ると顔を中心に体表には青い点々がある。
体全体の黄色にも濃淡があって、目元には黒帯になり損ねたような模様がうっすらと見える。
これといって目立つ模様があるわけではないけれど、「アイゴ類=地味」というイメージをいい方向に裏切ってくれるキレンジャーサンゴアイゴなのだった。