全長 3cm
ヘビギンポ類はとにかく種類が多い。
ただし、ひところまではほとんどの種類が分類に手を付けられていなかったため、ヘビギンポ類の多くは「ヘビギンポの1種」で片づけられる運命にあった。
ところが世の変態社会人の興味がヘビギンポ類にも浸透し始めるにつれ、従来名前が無かったヘビギンポ類に次々に和名がつけられている。
そんなヘビギンポ類にあって、このセグロヘビギンポは比較的「昔」から和名がついていた種類だ。
もっとも、図鑑にたった1枚掲載されている写真とずばりビンゴな色合いのものならばともかく、ヘビギンポ類ときたら、同じ種類でも時と場所と気分と状態によって、体色が随分変わる。
そのため今目の前にいるヘビギンポが、本当にセグロヘビギンポなのかどうなのか、にわかには判別がつかないことが多かった。
その点昨今はネット上に星の数ほど魚の写真が出ているおかげで、セグロヘビギンポと同定されている写真のバリエーションも、昔じゃ考えられないほどに多種多様になっている。
それらの写真を参考にするかぎりでは、上の写真のヘビギンポは、セグロヘビギンポで間違いないはず。
で、その勢いを借り、それまで不明だったこれも……
この子も……
このヒトも……
みんなセグロヘビギンポということにしてしまおう(これは違うよ…という種類が混じってたら、こっそりご教示くださいませ)。
となるとセグロヘビギンポ、なにげにその数は多い。
どこに行けば必ず観られるというモノではないにしろ、なにかのおりにふとそこにいる、ということがわりとあるのだ。
お利口さんだからその場でジッとしてくれているし、背ビレの先をピコピコ動かす様もカワイイ。
わりと深いところにもいるから、通常のボートダイビングでも出会う機会が多いヘビギンポといえる。
で、結局のところどの色が普段の色なのか不明ながら、一番上の写真は、おそらく婚姻色が褪めつつあるところじゃなかろうか。
やはりこれまでスター街道を歩んだ歴史がないだけあって、基本的には地味な色合いであるらしい。