全長 20cm
チョウチョウウオのなかでは大きいほうで、遠くから見ても存在感のある姿形だ。
けれどこの顔が……。
どう見てもピエロ。
眼の部分に黒い帯状の模様が入るチョウチョウウオの仲間は多いけれど、これじゃああまり意味が無さそう…。
しかもよくよく考えると、全体的にまったく意味不明の色彩。
このピエロさんは、砂地のポイントだとリーフ付近で観られる程度だけど、岩場のポイントだと生息範囲が広く、わりと深いところで目にすることもある。
ただし体が大きくなるとナワバリも広くなるからか、狭い範囲でたくさん観ることはできない。
逆にいうと、同じポイントで目にしているセグロチョウのペアはたいていいつも同じ子たち、ということなのだろう。
岩場で出会うペアはわりと警戒心が強いのに対し、近年遭遇率が増えてきたように思う砂地のポイントのリーフ上にいるペアは、けっこう近くまで寄らせてくれるものもいる。
ただしたいてい食事中なので、彼らの興味は目の前に集中していることが多い。
集中しすぎるあまり、一時的に互いの姿が見えなくなるほど離れ離れになることもあるのだけれど、呼び合っているんだかなんなのか、いつの間にかちゃんと元通りに一緒に泳いでいるセグロチョウ。
離れ離れになる心配がないせいか、セグロチョウはけっこうグルメなようで、時にはシャコガイすらつついていたりする。
セグロチョウは基本的に雑食で、底生小動物から藻、サンゴのポリプまでいろいろ食べるそうながら、シャコガイをつつくとは知らなかった(シャコガイの殻に付着している藻を食べているだけとか?)
オトナはこんなに堂々としているのに対し、幼魚は水があまり動かない内湾域を好むようで、水納島だと通常のダイビングポイントではまずお目にかかることはできない。
2016年の10月は時化の日が多く、ボートを出して潜りに行くことができない海況が続いたので、やむをえず唯一風浪を避けられそうなカモメ岩方面のリーフ内を潜ってみることにした。
するとその時期にはアケボノチョウやトゲチョウ、フウライチョウなどの幼魚がたくさん観られたので、これはひょっとしてセグロチョウのチビチビもいるかも…
そう期待して探し回ってみると……
いた!
4cmほどの幼魚である。
個人的には人生初のセグロチョウチビターレなのだった。
※追記(2019年11月)
9月10月と台風で連休が合計4回木っ端微塵になってしまった2019年シーズンは、オフシーズンになっても相変わらず時化の日が多い。
そのかわりお天気はいいから、久しぶりにカモメ岩の浜からインリーフを潜ってみることにした。
すると……
いたッ!!
15mmほどのチビチビ。
人生最小級記録更新♪