(&マルサヨリ)
30cm
水納島の桟橋は、知る人ぞ知る釣りのメッカでもある。
本島からわざわざ連絡船に乗ってきて、日がな一日、時には夜通しで竿を垂らしている釣り客もわりと多い。
連絡船の母港が島側だった頃は、船員さんたちもヒマな時には伝家の宝刀を引っ提げて桟橋に繰り出していたものだった。
で、ときには↓このようなおこぼれに与かることも。
秋ごろになるとバッチリ脂が乗るサヨリのお刺身(by 機関長)は、それはもう抜群に美味しく、たちまち日本酒案件となる。
サヨリたちが集まる頃合いと仕掛けさえ間違わなければ、釣果は約束されているも同然だ。
おかげで釣りをしない我々にとっても、お馴染みの島の海幸でもある。
この魚を船員さんたちも他の島の人たちもみなサヨリというし、海水浴エリアの水面付近にいる↓この魚を見てきた我々は、昔からサヨリは沖縄にもフツーにいるものだと信じていた。
ところが、アカデミズムの世界では、「ザ・サヨリ」は温帯域に分布していて、沖縄にはいないということになっているではないか。
では我々が普段見て食べている魚はいったい誰?
実はサヨリに見えて、両顎とも長いダツだったのか??
しかし↑これを観ても明らかなように、ダツとは違って上顎はサヨリ同様に短い。
やっぱサヨリなんじゃん!
…というのはうっかり八兵衛の早合点だった。
サヨリにはザ・サヨリのほかに、南方系の種類もいたのだ。
沖縄近海では7種類ほど知られているそうで、「沖縄 サヨリ」と検索すれば釣り情報が鬼のようにヒットする。
とりわけ釣りの対象魚となっているのはセンニンサヨリとマルサヨリという種類らしい。
どちらも顎の下が赤く染まるなど両者はそっくりなんだけど、センニンサヨリの下顎は上顎の先っちょからエラ蓋の端っこまでの長さよりも短いのに対し、同比におけるマルサヨリの下顎は長い、ということで区別できるのだそうだ。
では先ほどの顔写真で確認してみよう…
…って、エラ蓋の端とか下顎とか、いったいどこからどこまでなんだ?
ただ、同じように見えてカモメ岩の浜の先のリーフエッジの水面付近にいたものを観てみると…
あ…下顎長いかも。
となると、海水浴エリアで観られる↓これはセンニンサヨリで…
カモメ岩沖のリーフエッジ付近にいたものは…
マルサヨリってことか。
秋の雨の日にカモメ岩沖のリーフエッジ付近に群れていた彼らも…
マルサヨリに違いない。
ま、味の違いがあるのならともかく、どちらも等しく美味しいとなれば、どちらであろうとこれを釣り上げた島の人たちがただ「サヨリ」と呼ぶのは間違いない。