全長 50cm
ひとくちにウツボといっても、水納島でこれまで観たことがあるものをここで紹介しているものだけでも、本種を合わせてすでに20種類もいる。
そんな数多いウツボ類のなかでも、滅多に出会えない珍しさという意味では、このシマウツボは上位にランクインするレア度の持ち主だ。
ただ、レアはレアでも地味なので、出会っていても気付かないままで終わってしまっている方のほうが多いかもしれない。
ワタシが初めて出会ったシマウツボは、レアなはずなのになんとダブルでご登場。
砂地のポイントのなんてことのない小さな岩の下で、両者ともおずおずと顔を出していた。
おずおず&地味となれば目立たないこと甚だしいのだけれど、地味は地味でも、鼻管の先っちょが鮮やかな黄色という特徴がある。
それをもとに調べてみたら、シマウツボという名前であることがわかった。
あとにも先にも出会いは2017年のこのとき限りだったところ、今年(2019年)7月にめでたく再会。
お気づきのとおりこのウツボ、随分とシャイなようで、少しでも近づくとすぐさま身を引っ込めてしまうため、せいぜい顔を撮らせてもらうのが関の山ってことになる。
そういうこともあって、今回再会を果たすまで、このウツボの名前をすっかり忘れてしまっていた。
で、そういえばシマウツボという名前だったかも…とふとしたはずみで思い出し、とりあえずネットで画像検索をしてみると、出てくる写真は小笠原固有の花「シマウツボ」だらけでビックリした(魚のウツボの写真も多少は出てきます)。
それならば…と、かの魚類検索データベースで検索してみると、なんとなんと、シマウツボの画像はたった4枚しかない。
4枚中唯一全身が写っている写真をクリックしてみたら……
さらに驚いたことに、撮影者はなんとワタシなのだった……。
サイト上の写真に併記されているデータによれば、1999年に水納島で撮ったもののようだ。
すみません、まったく失念しておりました。
そういえば、種類不明のウツボの正体を探るべく瀬能さんにお尋ねした際に、データベースへの画像提供を依頼され、もちろんのこと快諾したような朧げな記憶が………。
というわけで、2017年に初めて会ったと思っていたシマウツボとは、実はその18年も前にしっかりフルボディ状態でお目にかかっていたのだった。
いずれにしても、四半世紀を超えた水納島でのダイビング歴において、いまだ4個体にしか出会っていないのだから、レアであることは間違いない。
地味だからといって、千載一遇のチャンスをお見逃しなく。