全長 9cm(写真は2cmほどの幼魚)
八丈島あたりでは普通にオトナの群れを観ることができるというシロボシスズメダイ。
ところが水納島周辺ではこれまでのところ、本種のオトナを認識したことはない。
ただしオトナはかなり地味な魚なので、実は目の前に奇跡的にいたにもかかわらず、節穴目でスルーしてしまっている可能性がないとはいえない。
オトナとは出会ったことはないけれど、2014年6月に、チビターレと出会うことができた。
図鑑で見る地味地味なオトナとは違い、チビターレはいかにも深いところに住んでいそうな、透明感溢れるインディゴブルーだ。
さほど光が届かない深場の、さらに暗い岩陰にいても、その妖しさは際立っていた。
オトナが多数生息しているところでも幼魚が観られるのは水深30m以深だそうで、オトナが群れているのに対し、どうやら子供は日陰者生活を余儀なくされているようだ。
この美しいブルーは、日陰者生活ならではなのかもしれない。
その後1、2年経った頃同じ場所に行ってみると、もっと深い海底付近にこのチビターレたちが複数いるのが確認できた。
その場所はフカミスズメダイが集まっていたり、ベニハナダイのハレムができかけていたり、そしてシロボシスズメダイが集まっていたりと、年ごとに観られる魚種が異なり、なおかつそれぞれが翌シーズンまで居てくれたことは一度もない。
地形的に、流れがいったん淀む窪地になっているのだろうか。
滅多に訪れる場所ではないから1年通してリサーチしたことはないのだけど、やってみるといろいろと発見がありそうな気もする。