水納島の魚たち

シチセンチョウチョウウオ

全長 10cm

 学生時代によく潜っていた沖縄本島の各ポイントでは、シチセンチョウチョウウオはかなり珍しい魚だった。

 自身当時見た覚えはないし、仲間うちで見たという人もいなかった(サンプル数は極めて少ない=識別能力のある人間が少なかったけれど)。

 ところが本部半島の先ッチョにある海洋博水族館(現美ら海水族館)のアルバイトで、備瀬崎から渡久地港までの周辺海域の海中の魚類相調査の補助、平たくいえば調査をする人の単なるバディ、というとってもおいしい仕事に数日間携わったとき、本部半島の海にはかなりこのシチセンチョウチョウウオがいることを知った。

 その後西表島でも座間味でもさして珍しくはない魚であることを知りはしたけれど、だからといって本島中南部では、やはりまったく出会えなかった。

 水納島でも砂地のポイントでは本島中南部同様まず出会えない魚で、珍しい、と言えるチョウチョウウオである。

 ところが岩場になると話は別で、行くと必ずといっていいほどシチセンチョウチョウウオに出会うことができ、その頻度は年々増えている気がする。

 近年は砂地のポイントでも、ときおり幼魚が観られるようになった。

 といっても、すでに500円玉サイズくらいまで成長している子ばかりで、まだ1円玉サイズのチビチビには出会ったことがない。

 途中追記(2022年10月)

 今夏(2022年)、1円玉サイズとはいかずとも5円玉ほどの激チビターレをオタマサが目撃したという。

 あいにく目撃談のみで記録は残せず…。

 途中追記終わり

 ところで、岩場のポイントに行くとわりと頻度高く出会えるようになったおかげで、シチセンチョウの体色には、濃淡2パターンあることがわかった。

 両者を比べてみると…

 色味のほか、薄い方は「七線」にならないくらいに模様がハッキリしないなど、随分違っているのがよくわかる。

 濃淡が雌雄差というわけではないようで、濃いタイプ同士のペアもよく目にする。

 というか、見かけるのは濃いタイプ同士ばかりで、むしろ薄いタイプがペアの片割れになっているのはレアケースのような気がする。

 薄いタイプ同士のペアを観たことがあったっけか……

 うーむ…記憶が霞んでいる。

 環境に合わせて体色の濃淡を変えることができるであろう彼らのことだから、岩場で目にするペアはたいてい濃いってことなのかもしれない。