水納島の魚たち

タテシマフエフキ

全長 35cm

 他の稿でもときおり触れているように、四半世紀もの間同じ海で潜り続けていると、以前はいなかったのに近年になってちょくちょく見かけるようになってきた魚がいるかと思えば、昔はよく観られたのに近頃めっきり出会う機会が減ってしまったものたちもいる。

 このタテシマフエフキは、昔は出会った覚えがないのに、ここ数年(2020年現在)目立つようになってきている魚だ。

 ホントは昔からいたのにワタシが気がついていなかっただけなのではないか…という話もなくはないのだけれど、30cmほどもある白い体、スパッと走る黄色いライン、そんな魚に気がついていなかったはずはない(…と信じたい)。

 タマンのように群れるほどではないにしろ、ポイント限定ながら砂地の根の周辺でわりとよく観られるようになっているこのタテシマフエフキ。

 もっとも、白い体にイエローラインというのは白い砂底にいるときの場合で、根に寄っているときなど周囲の色合いが黒っぽくなると……

 …体色を濃くする。

 こうなると黄色いラインなんて全然目立たないし、そもそもホントに同じ魚か?と疑いたくもなる。

 しかし体色変化はあっという間で、観ている間に(10秒くらいで)変わっていった結果だから、同じ魚であることは間違いない。

 もともと暮らしている環境によってはずっと濃い色のままだろうから、白い体に鮮やかなイエローラインバージョンのタテシマフエフキは、おそらく白い砂底ならではなのだろう。

 …といったことをネット上の画像検索で調べてみたいところながら、出てくるのは水揚げされた状態のものがほとんど。

 そりゃ、このテの魚を一生懸命撮っているヒトなんて、まず見かけないから無理ないか……。

 タテシマフエフキ、居てくれている間に観ておこう。