水納島の魚たち

ムラモミジハナダイ

(旧姓チビハナダイ)

全長 2cm

 冒頭に追記

 この魚は長らく「チビハナダイ」という名で親しまれていたのだけれど、日本国内で「チビハナダイ」として知られている魚は、チビハナダイという和名が充てられたPlectranthias longimanus とは別のP. nanus だぞ、ということになって、その種に新たな和名がつけられた。

 それがムラモミジハナダイ。

 ちなみに新生チビハナダイは、今のところ一度も目にしたことがない…。

 冒頭追記終わり

 ハナダイと名付けられてはいるものの、彼らが属するイズハナダイ属は、まるでゴンベ類のように底にピトッと着地した生活をしている。

 なので、花吹雪のように中層に群れ集うということはなく、岩やサンゴの隙間といった目立たぬ場所から、ときおり顔を覗かせている。

 写真ではストロボが当たっているので赤みがけっこうきれいに見えるけれど、海中ではいたって地味なダークカラーにしか見えない。

 おまけに小さい。

 この仲間にはオシャレハナダイやチゴハナダイなどビジュアル系もいるのに、あいにくそのような存在感がないのがこのムラモミジハナダイだ。

 しかも、よく見かけるものはストロボを当てても茶色っぽい子ばかり………

 …と思っていたところ、物陰からそっとこちらを覗いていた↓この子は、どういうわけか赤みが強い。

 そのうち冒頭の写真の子にも会え、そうかそうか、ムラモミジハナダイは赤か茶なのか…と納得しかけていたら、

 …↑こんなに薄い色の子もいた。

 体色は同じ個体でも感情によって変わることもあるのだろうけど、この色で村紅葉って言われても…。

 中層を群れ集う他のハナダイ類とは違い、パッと目につく魚ではないけれど、居場所の見当がつくようになると、わりとちょくちょく目にすることができるようになる。

 どういう体色であれ、恐る恐るこちら伺う様子が慎み深げで、なんだか気になるカワイイ魚、それがムラモミジハナダイなのだ。