全長 20cm
英名で「ラクーンバタフライ」と呼ばれるチョウチョウウオ。
ラクーンとはアライグマのこと。
たしかに、目元の模様がアライグマそのもの。
こんな愛らしい顔で近寄られたら、ロックリバーへ遠乗りしよう!と誘わずにはいられない。
しかし出会えたからといって、スターリング少年のように「神様ありがとう……」と感謝したくなるほど珍しいわけではない。
リーフ内やリーフエッジ付近で、ペアで泳いでいる様子をフツーに観ることができる。
もっとも、じゃあ会いたいときにいつでも会えるのかというと、そこらじゅうにウジャウジャいるわけでもない。
そのくせ繁殖期の序盤くらいには、なにやら剣呑な雰囲気を醸し出しながら多数が集まっていることがある。
上の写真では、ペアの仲を邪魔するもう1匹(右端)という構図ながら、ときには5匹くらい集まっていることも。
2ペアプラス半端もの、ということなのだろうけど、けっこう激しく追い払い合いをするものだから、観ているとどれがペアでどうなっているのかわからなくなってしまう。
なんとなく、集まっている本人たちもわからなくなっているようなフシもある……。
ポリプ食のチョウチョウウオ類とは違い、子供の頃をサンゴの枝間で過ごすということはないチョウ半のチビターレは、リーフの中の地味なところがいいらしく、桟橋脇ではほぼ毎年、幼魚の姿を観ることができる。
桟橋脇に停めている船から海中の岸壁を覗き込むと、チラリホラリと黄色い豆チョウハンの姿が見え隠れする。
そして最初は1円玉サイズだったものが、100円玉くらいに、やがて500円玉サイズくらいに育っていく。
1円玉サイズくらいのころには鰓の後ろの黒い模様がなく、その姿を是非写真に納めたい……
と思っているうちに、気がついたら上の子のように、チョウハンらしい黒い模様が出てきている、ということを毎年繰り返しているのだった。