全長 4cmほどらしい
※冒頭に訂正(2024年12月)
この魚と出会ったのは後にも先にも1回きりのことで、長らく正体不明のままだった。
正体不明なら正体不明としておけばよかったのだけど、砂に開いた穴から3cmほど体を出している様子を目にしたワタシは、砂中にはまだ長〜い体がある…と勘違いしてしまった。
そのためタツウミヘビのような魚のウミヘビのチビチビでは?と思い込んだものだから、あろうことかこの魚を「謎のウミヘビ」として「魚のウミヘビの仲間」のグループに入れていた。
ところがこの魚は、まったくもって予想外なことにハゼだったのだ。
その名もテングギンポハゼ。
そんな貴重な情報を当サイト「徒然海月日記」のコメント欄にてもたらしてくださったのは、「沖縄本島魚類図鑑」管理者であるYUSUKEさん。
ご教示いただかなかったら、おそらくこのまま永遠に「謎のウミヘビ」にしたままだったであろうことを思えば、まことに感謝感謝。
この場を借りて、あらためまして御礼申し上げます。
というわけで、これからは謎のウミヘビではなく、テングギンポハゼということでお見知りおきくださいませ。
※訂正おわり
とある梅雨時の晴れ間に、砂地のポイントで潜っていたときのこと。
目の端に、スーッと何かが砂の中に引っ込んでいくのが見えた。
砂底から伸びていたのは、3cmほどの細長く白いものだ。
チンアナゴの若魚くらいの、もっとわかりやすく言うならきしもと食堂のそばほどの太さである。
水納島の砂底といえばチンアナゴが普通にいるけれど、その周辺10m四方にはチンアナゴたちの姿はまったくないゾーンでのこと。
はて、今のはなんだったんだろう……。
気になったので、引っ込んだと思しき砂底を観に行ってみると、驚いたことにまだ完全に引っ込みきってはおらず、顔だけ見えているではないか。
ここからそーっとそーっと近づき、間近で顔を撮ったのが、冒頭の写真。
えーと……誰ですか、このヒト?
人相の悪い極小ジョーフィッシュ……に見えなくもないけれど、体を出していたときはほぼ直立で、まだ体の続きが長めに穴の中にありそうに見えた。
それに↓この鼻(?)の雰囲気は…
アナゴ系〜ウミヘビ系なのか??
うーん、気になるその正体。
待っていれば、再び体をピヨヨ〜ンと穴から出してくれるかもしれない。
そこで少し距離をおき、待つことしばし。
すると……
引っ込んでしまった(涙)。
翌日同じ場所に行ってみたところ、穴すら確認できず。
同じ場所にずっといるわけじゃなくて、たまたまその日そこにいただけだったのだとしたら、この先再会できる見込みは限りなく低そうだ。
ますます気になるその正体。
どなたかご存知の方、情報プリーズ!!
…と拙日記で書いたのが2014年6月のこと。
以来7年経っても(2021年現在)、いまだにその正体は不明…
…だったのだけど、冒頭の訂正でお伝えしているように、この魚は実はハゼで、その名も「テングギンポハゼ」という名前であることが、今年(2024年)も終ろうかという頃になってようやく判明したのだった。
テングギンポハゼはギンポハゼ属のハゼで、口のすぐ上にあるウツボ類の鼻管のような突起が「テング」の由来らしい。
ひょっとすると魚のウミヘビではないかもしれない…と書いてはいたとはいえ、まさかハゼだったとはなぁ…。
今頃初認識しているワタシとは違い、世間の変態社会ではかなり有名なハゼのようで、ネット上には星の数ほど画像があるし、なかには巣作りをしている様子を捉えた動画まである。
ただしもっぱら浅い内湾の砂泥底環境で観察されているようで、ワタシが出会った場所(ハナダイ類が群れ泳ぐ水深24mの根の近くの砂底)ではそうそう観られないっぽい。
年々泥成分が増えてきているとはいえ、テングギンポハゼが暮らすには適さない環境っぽいから、きっとなにかがどうにかしてたまたまこんなところに来ちゃいました…ってことだったのだろう。
となると10年前の遭遇は、人生最初で最後になってもおかしくはない。
貴重な出会いだったにもかかわらず、ずっとウミヘビ扱いしていてゴメンナサイ、テングギンポハゼ…。