全長 25mm
ひと口にサンゴといっても固いのからやわらかいのまでいろいろあって、「サンゴ礁」を形成するサンゴの種類は実に多い。
ミドリイシ類が幅を利かせているリーフではかなり脇役に近い存在ながら、場所によってはなぜだか個体数が多いところがあったりするのが↓このフトウネタケ(の仲間)だ。
ウミキノコとか〇〇タケというのは、その形が陸上のキノコ類に似ているから。
ただしポリプが出ている状態(左)と閉じている状態(右)ではまるで別の生き物のようにも見え、ポリプを咲かせているところにうっかり手をついてしまったことがある八兵衛さんなら、すぐさまポリプが閉じていく様子をご覧になったこともあるだろう。
リーフ上からリーフエッジにかけて多く観られるこのフトウネタケでよく見かけるのが、ザ・ウミタケハゼだ。
魚の名前を覚え始めたばかりの頃は、なんとも不思議な名前だなぁと思ったものだったけど、ようするに海のキノコ(似ているサンゴ)=海タケ に住んでいるハゼってことなんですね。
海タケに住むウミタケハゼといえばセボシウミタケハゼがやたらと数多く、海タケあるかぎりリーフエッジ付近にもやはりセボシウミタケハゼは観られる。
住んでいるサンゴは同じでも、セボシウミタケハゼは海タケの日陰側にいることが多いのに対し、ザ・ウミタケハゼはたいてい表側にいる。
なので、ポリプを閉じているフトウネタケを上から眺めるだけで、ザ・ウミタケハゼの存在を確認することができる。
ただ、上から観ることができるのは楽でいいのだけれど、そうするとおうおうにして…
こういう姿しか観られない。
裏側にいるために観るのは大変でも、横からの姿が観やすいセボシウミタケハゼとは大違い。
違うといえば、サンゴへのくっつき方。
セボシウミタケハゼが、擬音をつけるなら「チョコン…」と載っているように見えるのに対し、ザ・ウミタケハゼは「ピトッ…」とくっついているかのようで、サンゴの表面の移動の仕方も、かつて一世を風靡したオモチャ「モーラー」のように、スルスルスル〜とサンゴの表面を滑っているかのように見える。
「ピトッ…」としているのが常態だからだろう、目の位置も上に偏り気味で、メスらしき小型の個体を観ると…
…彼らウミタケハゼの上方への意識が高いことがよくわかる。
シーズン中ならリーフ際のフトウネタケを探すとちょくちょく出会えるザ・ウミタケハゼは、冬にはなぜだか出会えないという不思議な特徴もありはするものの、けっして珍しいわけではない。
ただ、今さらながら大きなモンダイが。
ここで紹介している一連のハゼたちって、ホントにウミタケハゼなんでしょうか…。
ちなみに↓こんな顔してます。
長らくウミタケハゼと信じて今日まで生きてきたものの、最新「日本のハゼ」ではこれまでガラスハゼだと信じてきたものが「ガラスハゼ属の1種ー4」なんてことになってしまっているくらいだから、これもウミタケハゼではなくなっているかもしれない。
というわけで、ここで紹介しているものは、あくまでも当店認定ウミタケハゼってことでご承知おきくださいませ。