全長 25cm
ヤイトヤッコやトサヤッコが少数ながらも観られるポイントで、どうにも見慣れないタテジマヤッコ属の魚が泳いでいた。
ヤイトヤッコの疎らな群れと行動を共にしているようなのだけど、明らかにヤイトヤッコのメスではないし、かといってオスの模様でもない。
よく見ると縞模様に乱れがある。
体の真ん中で縞模様が途切れているところや縞模様の乱れ加減はトサヤッコのオスそっくりながら、顔がオレンジ色ではない。
これはひょっとして、ヤイトヤッコとトサヤッコのハイブリッド個体?
発見時、色めき立ったのはいうまでもない。
当時は手持ちの図鑑類で確認のしようがなく、交雑個体だという確証を得られなかった。
ところが今や、画像検索で「ヤイトヤッコ×トサヤッコ」というワードで検索してみると、例の魚類写真資料データベースによく似ている写真があった。
そしてそこには、しっかり「ヤイトヤッコ×トサヤッコ」と表記されていた。
世の中便利になりましたな…。
発見当時はまだフィルムで写真を撮っていた頃で、1本のダイビングで撮影できる枚数にはデジタル全盛の今から思えば絶望的なほどに限りがあったものの、当時のほうが1枚1枚にかける集中力が大きかったのか、なんとかこうして記録に残すことができた。
その後2〜3年は同じ場所で観られたような記憶があるけれど、現在(2018年1月)に至るまで十数年、再登場は実現していない。
再登場でもしようものなら、それこそデジタルの威力で100枚くらい撮っちゃうかもしれない……。