アカクセニアウミウシ  アオミノウミウシ科

写真の個体の大きさ 35ミリ

 普段からよく訪れる岩の陰に、なぜだか突如、不思議的ソフトコーラルがワサワサし始めた。

 ほんの少し前まで影も形も無かったはずなのに。
 それも、少しずつ大きくなるのならともかく、突如現れるなんて。

 それだけでも不思議だった。

 ところがこのソフトコーラルは、しばらくの間人生を謳歌していたあと、今度は忽然とその姿を消してしまったのだ。

 そしてソフトコーラルが姿を消した現場には、これまで観たことがないウミウシが、大小様々15、6匹も大集合していた。
 

 これ、茶色い一塊は1匹のウミウシではなく、ひとつを拡大してみるとこんな感じ。

 4匹くらいがくんずほぐれつ状態になっている。

 撮影したオタマサによると、撮っている間にザワザワと離れ始めたそうで、1匹1匹の姿は一番上の写真のとおり。

 上から観てみると、

 こんな感じ。

 大は35ミリくらい、小は15ミリくらいだったそうで、それらが一ヵ所に15、6匹もいたりしたら、オタマサが目の色を変えて船に上がってきたのも頷ける。

 どうやらこのウミウシは、ちょくちょく見かけるオオコノハミノウミウシの親戚筋に当たるようだ。

 オオコノハウミウシがウミキノコ系のソフトコーラルを好んで食べるのに対し、このウミウシは突如現れたこのソフトコーラルだけを専門に食べるウミウシらしい。

 図鑑的には珍しいウミウシというわけではなさそうながら、そのソフトコーラルは水納島のダイビングポイントでは見かけないため、これまでこのウミウシに出会うことがなかったようだ。

 長い触手をユラユラと動かしている様子は印象的で、色彩は地味ながらも他で観たことがないから、そのうちちゃんと写真を撮っておこう……

 ……と思っているうちにぜ〜んぶこのウミウシに食べられてしまった。

 思い立った時にすぐさま撮っておかなかったのがそもそも悪いのだけど、それにしてもまさかこんなにあっけなく突然に完食されるとは夢にも思わないものなぁ…。

 とにかくそういうわけで手元に件のソフトコーラルの写真がなく、「これがこのウミウシの餌です!」という説明ができないでいる。

 たしかシーズン中にそのソフトコーラルの写真を撮っていた方がいらっしゃったような記憶がオボロゲに……。

 心当たりがおありの方は、是非是非貴重なお写真をご提供くださいませ。

 (撮影:2016年5月)