シフォプテロン・クアドリスピノーサムSiphopteron quadrispinosum)  ウミコチョウ科

写真の個体の大きさ 5ミリ

 毎年春になると、我々がブイと呼んでいる砂地の海底のあちこちで見られるウミコチョウ。
 5ミリほどと小さいけれど、そこかしこにいるからイヤでも目に入るのだ。
 ところがこんなに数が多いのに、以前のウミウシ図鑑には影も形も載っていなかった。
 なんでだろう??

 答えは、あるゲストの方にうかがってわかった。
 座間味ではこのウミコチョウはあまり見られないらしい。その後世に出たラトルズ刊の小野ニィニィの図鑑には載っているものの、よく観ると本種の撮影者は例の外人さんで、撮影地は本島になっていた。

 ほんの少し場所が違うだけで、その出現頻度は大きく変わるのがこのウミウシたちなのだ。

 そんなわけでまだ和名がないこのウミコチョウ、水納島では時期を選べば苦もなく見つけられるので、彼らが能動的に羽ばたき始めるまでじっと観察していられる。

 羽根を完全に開ききっている瞬間を狙いたかったのだが、神は降りてきてはくれなかった……。