タヌキイロウミウシ  イロウミウシ科

写真の個体の大きさ 10センチ

 「イロウミウシ科」というグループがウミウシ類の中にある、ということをふまえないままこのウミウシの名前を見ると、

 タヌキ色ってどんな色?

 と思ってしまうに違いない。
 これは色合いがタヌキの色という意味ではなくて、タヌキのようなイロウミウシの仲間、という意味。

 ではどこがタヌキなのか。
 このウミウシ、ナリは大きいくせに恐ろしく人見知りで、いじられたりして一度触角や鰓を引っ込ませたら、再びそれらが顔を出すまでかなりの時間を要する。
 ムンズと掴んで撮りやすいところに移動していただく……なんてことをしてしまおうものなら、体から粘液を出しながらじっと丸まって微動だにしなくなる。

 まさにタヌキ寝入り。

 撮りやすくするはずが、取り返しのつかないことになってしまった…というご経験がおありの方もきっと多いことだろう。

 モンジャウミウシ同様カイメンが好物らしく、時には同じ場所に複数匹が集まっている。そしてこのまま交接、ということになるのだろう。

 こういう場所は、以後しばらくずっと同じように居てくれるので、それほど多くないわりには出会う機会は多い。