全長 30cmほど
シギやチドリの仲間たちは似たものが多く、ムナグロにそっくりなこのダイゼンも、特に冬羽だと両者をちゃんと区別するのはムツカシイ。
ただ、ワタシが水納島で初認識したのはムナグロよりもダイゼンのほうが先だったりする。
2019年1月のこと、実測20m/秒ほどのキビシイ寒風が吹きすさぶ海水浴場に、シロチドリにしては大きな鳥さんの集団がいた。
シロチドリたちなら、このような日には風に当たらない南側の浜に避難しているはず。
わざわざストロングな強風に真っ向から対峙している集団、はて、彼らは誰だろう?
肉眼では細部まで確認不可能だったので、コンデジのズームでポンッ!
画面内だけで10羽いる。
でもこれでは「シロチドリではない」ってことくらいしかわからない。
そこで、無理矢理ズームで拡大。
これはダイゼン…もしくはムナグロ?
冬羽も夏羽もそっくりな両者、夏羽なら頭頂部の色味で見分けられる。
また、体格はダイゼンのほうがひと回りほど大きいから、一緒に居ればサイズで違いが分かる。
でも冬羽の彼らが単独でいると、ワタシにはどうしようもない。
この日観た集団は、ダイゼン、ムナグロ、どっちなんだろう?
図鑑的なダイゼンの解説によると、「翼を広げたときの脇の部分の黒色が目立つ」とあった。
この時撮った画像のなかに、画面の端で羽を広げている様子が写っているものがあったので、さっそく確認してみたところ…
あ、脇黒い……。
というわけで、ダイゼンに認定。
まことにアヤフヤな同定ながら、ダイゼン説をさらに補強するポイントを後日知った。
ダイゼンの脚には、ヒトでいうならアキレス腱あたりの場所に、ほんのわずかに後指がチョンと蹴爪のように出ているというのだ。
さきほどのソロ画像の子の足元を観てみると…
おお、たしかに後指が見える(気がする)。
一方桟橋上に群れていたムナグロの同じ部分には…
後指がない(ように見える)。
やはり2019年の1月にビーチで群れていた集団は、ダイゼンだったのだ。
それにしてもあんな強風吹きすさぶ中で、いったい何をしていたのだろう?
ただジッと風に耐えているわけではなく、けっこう能動的に波打ち際に集まっていた彼ら。
打ち寄せる波をジ……と凝視しているように見える。
すると、これまた画像の端のほうに、その答えが見つかった。
ガーラのチビか何かに追われて浜に打ち上がったものなのだろうか、小魚を咥えているものが写っていたのだ。
なるほど、波打ち際あたりの浅いところに群れている小魚たちが、何かの拍子に浜に飛び出してくるのを待っているってことか…。
わざわざ強風に打たれながら浜辺に集まっていたのは、そのほうが効率よくエサにありつけるからなのかもしれない。
ところでこのダイゼン、沖縄県内では、そっくりのムナグロのほうが圧倒的に個体数が多く、ダイゼンは少数派なのだそうだ。
少数だからムナグロに混じっていることもあるらしく、今年(2023年)2月に桟橋上で群れていたムナグロたちの中に、ダイゼンと思われる大きめの子が数羽混じっていた。
もっとも、大きめの子が混じっていることに気がついたのは、このとき撮ったヘナチョコ画像を後刻PCモニターで観たときで、撮っている最中はダイゼンの存在などまったく意識していない。
もちろんのこと、大きめの子の脚元の後指など確認しているはずもなし。
とにかくたくさんいるのはムナグロで、ダイゼンは少数派なのだとすると、2019年に出会ったダイゼンらしき集団は、実は千載一遇のチャンスだったのだ。
記録画像的には、まったくそのチャンスを活かせていなかったのだった…。