水納島の野鳥たち

キセキレイ

全長 20cmほど

 水納島では秋や春に姿を見かけることが多いセキレイの仲間には、ハクセキレイのほかにキセキレイもいる。

 昔から水納島でその姿をたびたび目にしてはいるもの、思い返してみると遭遇機会はハクセキレイより少ない。

 水納島で水辺といったら海辺しかないので、水辺が好きなセキレイたちは暮らしづらいのかもしれないけれど、ハクセキレイは海辺でもOKらしく、裏の干潟を歩いているのを見かけたことがある。

 水納島での遭遇頻度の差は、海辺でもOKかいなかの差だろうか。

 また、ハクセキレイはカメラを向けてもけっこう我慢してくれるのに対し、キセキレイは警戒心が高く、カメラを向ける前に逃げてしまうため、撮影のチャンスがこれまでなかった。

 そのため今さらながらの登場となったキセキレイの写真も、この春(2025年)かろうじて撮れたものでしかない。

 画像は、夏の間ずっと藪になっていたところが久しぶりに耕され、開けた耕地が大好きなキセキレイがエサ場にしていたところを少しばかりお邪魔した際のもの。

 その名のとおり黄色い印象が強いキセキレイだけど、黄色いのは腹部で、胸からお尻までしっかり黄色い。

 なので後ろから見ても、すぐにキセキレイだとわかる。

 こんなプリケツで、尾羽をピコピコと上下させながらエサを探している様子はなかなか可愛い。

 ちなみにセキレイたちのことを、沖縄方言では「ジュウフィフィ」と呼ぶのだそうな。

 なんだか「ラブイズオーバー」でも歌いそうなこの名前、いったいどういう意味なんだろう?

 調べてみたところ、ジュウというのは尾のことで、フィフィは「振り振り」が転訛したもの、すなわちジュウフィフィは尾フリフリって意味だった。

 まさにセキレイたちの動きそのもので、ちょっぴり感動。

 でもキセキレイはジュウフィフィを披露してはくれても警戒心が強いから、もう少し横顔を…と期待しても、この向きのまま尾羽をフィフィしながら向こうへ歩いて行ってしまう。

 なのでこちらを向いてくれるだなんていったら、キセキレイとしては最大のサービス…

 …なんだけど、遠すぎてそのサービスを活かせず、ピンボケで終了したのだった。