甲幅 15mm
沖縄には通称パヤオと呼ばれる巨大人工浮き漁礁があって、そこに集まる回遊魚などの漁がおこなわれている。
そのパヤオの点検のためだか交換のためだかでいくつか陸揚げする機会が2009年にあったそうで、「チャンス!」とばかりに美ら海水族館の方々が中心となって調査をしたらしい。
何年も海に浸かっていた巨大人工浮き漁礁には造礁サンゴ類がビッシリと付き、それぞれ随分成長していたようで、そのサンゴで暮らしているサンゴガニ類を調査しようということになったようだ(他にも目的があったのかもしれないけど)。
2013年に発表されたその論文はPDFファイルになってネット上で公開されているから、興味のある方は「沖縄 パヤオ サンゴガニ」などで検索するとすぐにヒットするはず。
で、その論文にて新たに本邦初登場となったのが、アカモンサンゴガニだ。
新種記載されて世界のエビカニ変態社会にデビューしたのは19世紀のことで、そんな昔から存在が知られていたにもかかわらず、日本でのデビューは21世紀まで待たねばならなかったのは、彼らの分布域が中部太平洋寄りだからなのだろう。
分布域的にはおそらく僻地に該当する沖縄の海で、彼らに会うのはレアケースなのかもしれないけれど、どういうわけだか奇跡的に1枚だけ写真を撮っていた。
画像ファイルに記しているところによると、その正体などまったく知らなかった2017年10月のことで、砂地のポイントのリーフエッジ付近で撮影したものらしい。
きっと私のことだから、「おッ!」とは思いつつも、「アラメサンゴガニの模様を反転したようなサンゴガニだなぁ…」で終ってしまっていたに違いない。
というわけで手元にあるのは冒頭の写真ただ1枚だけなので詳細はまったく不明ながら、冒頭の写真のトリミングしてある部分を見てみると…
アミメサンゴガニらしき別のサンゴガニと一緒に暮らしているっぽいことがわかる。
となれば、アミメサンゴガニが暮らしていそうなサンゴをチェックし続けていれば、そのうちまた会えるかもしれない?