体長 15mm
夜行性のものが多いエビカニたちは、日中は姿を見せない代わりに、日が暮れるとワラワラと蠢き始める。
写真のエビは、クレナイヤドカリテッポウエビと初遭遇した同じ夜に出会ったエビちゃんだ。
このアングルでしか撮れなかったから写真ではハサミ脚がまったく見えないものの、海中ではフォルムからしてテッポウエビの仲間だろう…くらいのことまではわかった。
後刻、当時最新最強だった新星図書出版の沖縄海中生物図鑑「甲殻類編」をパラパラめくってみたところ、どうやらアカオビテッポウエビらしい…
…と見当をつけたのが94年のことで、その後四半世紀以上そう信じて生きてきた。
ところがその後続々と世に出てきたエビカニ系の図鑑には、その名も姿もまったく載っていない。
古い図鑑を参照して判明した結果は、その後アカデミズムの分野で研究が進んでいろいろ変更される…ということはよくあるけれど、該当する写真すら最近の図鑑に掲載されていないとなると、はて…。
撮影後四半世紀以上過ぎてから、当時根拠となった古い図鑑をあらためて確認してみたところ、掲載されている写真は標本写真だった。
ただでさえ標本とフィールドで見る色とは異なるというのに、私が撮ったのは夜の姿だから、どちらもノーマルカラーではないはず。
それを無理矢理見比べても、似ているといえば似ているけど、違うといえば違うような…。
和名で画像検索しても全然出てこないし、ウェブサイトで検索してみたら、真っ先に出てくるのはリニューアル前のエビカニ倶楽部のこのエビのページ。
しかしそれに続いて「日本十脚目写真館」という標本写真オンリーのアカデミック変態サイトがあって、テッポウエビ科のページも出ていたのでさっそく見てみた。
すると、どういう順序で並んでいるのかは不明ながら(五十音順ではないことはたしか)、40種弱並んでいるテッポウエビ類の筆頭に、アカオビテッポウエビの名が!
しかも学名は1973年に記載されて以来、変わっていないらしい。
そこで、学名の Alpheopsis yaldwyni で画像検索してみると……
…たくさん出てきました、アカオビテッポウエビの写真(標本写真が多いけど)。
アカオビテッポウエビは、けっして抹消されたわけではなかった。
でもモンダイは残されている。
冒頭の写真のエビは、ホントにアカオビテッポウエビなんでしょうか?
ま、正体はなんであれ、赤白のおめでたい色彩とセクシーな腰の曲がり具合が気に入っている。
その後日中に見つけた記憶がうっすらあるのだけど、このエビときたら、見つかったあと我に返って「ハッ!」とするまでに時間がかかり、しばらくその場でジッとして動かないものだから、そんなときトラギスやベラに見つかってしまうとひとたまりもなさそう…と思った記憶がある。
夜になればトコトコ散歩しているのだから、日中無理に石を引っくり返さずとも、夜にゆっくり会ってやってください。
アカオビテッポウエビの夜カラーの写真が世にたくさん出てきてくれれば、四半世紀におよぶ私の疑問も解消するはず♪
…違う種類のエビだったらゴメンナサイ。