甲長 10mm
宿にしている貝殻がどんなにボロくとも、思わず目を奪われるほどカラフルな手脚を持つベニワモンヤドカリ。
リーフエッジ付近の浅く明るいところの、ちょっとした物陰にも潜んでいる。
だからといってそういうところを探せばいつでも会えるというほどたくさんいるわけではなく、同じ派手系のベニサンゴヤドカリよりは多いかな…というほどの遭遇頻度だ。
手脚はド派手ながら、チラリと見える背中は純白だ(小さい頃は手脚まで純白だそうだ)。
この白い背中を見せてもらおうと思っても、そうおいそれとは秘部(?)を人前にさらしてはくれない。
それは、ベニワモンヤドカリがイモガイ類など、殻口がやたらと狭い貝殻を好むことに起因しているようだ。
↓このように上から観ると、フツーに手脚が出ているように見えるんだけど…
前から見るとかなり窮屈そう(別個体です)。
貝殻に比してその体は随分小さいことが多く、しかも狭いところから手脚を出しているものだから、ヤラセなしの自然な状態を観察するのはなかなかムツカシイ。
だからといってヤラセをしてみても…
やっぱり窮屈そう…。
宿がイモガイ類だからこうなってしまうのだろうか。
宿が小ぶりな貝殻なら、多少は違って見えるかも…と思いきや、
あらら、余計に苦しそう…。
ベニワモンヤドカリ、どうやら筋金入りの「狭いところ好き」らしい。
だからだろう、あろうことかタカラガイの仲間を宿にしているものもいる。
↑これなど、「お願い、出してッ!」という声が聴こえてきそうなほどに苦しそう…。
ベニワモンヤドカリの説明として、
「警戒心が強く、いったん貝殻の奥まで引っ込むとなかなか出てこない」
という記述をよく目にするけれど、それって出てこないのではなく、出てこられないんじゃ…?
あ、それだと引っ込む際に引っ込めなくて外敵にすぐやられちゃうか。
狭い殻口の貝殻が大好きなのは、強い警戒心ゆえなのかもしれない。