甲幅 10mm
他の稿でもしばしば触れているように、紆余曲折を経つつ「石の下の環境保全協会」会員になった(会員総数1名)私がメクリスト活動を自粛してからも、だんなは「クラシカルアイになる前に、目が見えるうちに…」と、その後数年ほどは1本のダイビングあたり石5枚限定で活動を続けていた。
そんなおり(2015年5月)にだんなが遭遇したのが、このゴイシガニだ。
なるほどたしかに、その丸っこくて白い体を上から見ると、囲碁の白石に似ている。
でもよく見ると、碁石に似たその輪郭はけっこう毛だらけ猫灰だらけ。< 死語?
こんなに毛ボーボーの碁石なんて無いよなぁ。
しかしこのカニの最も注目すべきところは、碁石のようなフォルムでも、毛ボーボーでも、正面から見ると意外にカワイイ丸い体(冒頭の写真)でもなかった。
このゴイシガニ、実は…
潜るんです♪
石の下に潜んでいるだけではなく、いざとなると砂の中に潜るカニさんだったのだ。
その砂遁の術の様子は↓こちら。
画面に比してカニが小さくて申し訳ないけれど、砂中に潜っていく様子がかろうじてわかる。
ゴイシガニが砂中に潜る様子について、名著「海の甲殻類」では、
歩脚とはさみ脚をたくみに使って、力強く砂にもぐる。
とある。
たしかに、どう見ても半人分しかない隙間に無理に尻を押し込んで座席に座る大阪のおばちゃんのように「力強い」かもしれない…。
だんなが白状したところによれば、その様子が面白くて、潜ったカニをまた出して、潜ったらまた出して…を繰り返しても、あくまでも頑なに砂中に潜り続けたそうな。
ゴイシガニ、どうやら体力勝負では挫けぬ心の持ち主らしい。
そんなイジメのような負担にも負けない力強いゴイシガニが、思いもよらぬ奇跡のツーショットを生んでくれていた。
矢印の先を拡大すると…
ご存知、エビジャコ。
撮影者本人が気づきもしていない間に、ツーショットを提供してくれていたゴイシガニ。
虐げられても尽くすタイプなのだろうか?