甲幅 12mm
枝状というわけではなく、かといってテーブル状というほど育っているわけでもない枝が短めのミドリイシ類の枝間で、ときどき小さなキモガニを見かけていた。
細いミドリイシの枝に比してこのサイズだからどちらも随分小さく、長い間キモガニのチビだとばかり思っていた。
ヒメキモガニという種類の存在をすっかり忘れていたのだ。
あらためてちゃんと見比べてみると、ハサミのツメ部分がオレンジ~白だし、目つきは違うし、キモガニ印の泣きボクロも無いところからして、どうやらどちらもヒメキモガニのようだ。
なるほど、キモガニに比べると随分小さいからヒメキモガニ…
…と納得しかけたところ、親指のような短い枝が密生して生えるタイプのミドリイシにいたものはでかかった。
でっかいけれどハサミのツメはオレンジから白だし、キモガニ印は無いから、これもやはりヒメキモガニなのだろう。
このタイプのミドリイシは太い枝が密生しているから枝間はずいぶん狭く、ハマりこんだら身動きが取れないんじゃないかとさえ思えるのだけれど、ビッグなヒメキモガニは器用に身を捩りながらズリズリと移動していた(カメラを嫌がって…)。
シロウトの勝手な思い込みながら、以上はまずヒメキモガニということで間違いはなさそう。
モンダイは、↓こちら。
体もハサミも、ヒメキモガニっぽいではあるものの、キモガニ類といえばターコイズアイのはずが、このカニさんはペリドットアイなのだ。
眼の「柄」の部分の色も赤く、ヒメキモガニとは全然違って見える。
これはバスケットボールよりも大きく育っていたピンクのトゲサンゴにいたもので、トゲサンゴにキモガニ系なんて過去に観た覚えがなかったから、「おっ?」と思って撮ったもの。
ピンクのトゲサンゴは枝間にいるものがなんであれビジュアル系になるし、サンゴ群体が大きいだけに様々な生き物が暮らしていて大いに楽しませてもらっていたのだけれど、あいにくこの巨大トゲサンゴは物理的ダメージに加え2016年の中規模白化のダブルパンチで死滅してしまい、今では影も形も無い。
その後他のトゲサンゴの枝間で出会ったことはないから、この緑の眼をしたキモガニとは、その時かぎりの一期一会になっている。
はたしてこのペリドットキモガニもまたヒメキモガニなのか、はたまたまったく異なる種類なのか、エビカニオーソリティのF教授に伺ってみようっと。