体長 8mm
水納島の砂地のポイントには、春から初夏にかけて、ガヤの仲間が元気に育つ。
ガヤの仲間は刺胞毒をもっているので、お肌の弱い人なんかだと、触ってしまうとえらい目に遭うことになる。
幸いツラの皮が厚い私はお肌も厚く、そんじょそこらのガヤではビクともしない。
そんな利点(?)を活かし、5~6月はガヤをひたすら掻き分けてアヤシイ生き物を探すのが、ひところの私の密かなマイブームになっていた。
そしてガヤをゴソゴソ掻き分けていると、たいてい↓このようなエビが複数個体みつかる。
ここでモンダイがひとつ。
このエビとナガレモエビと、いったいどこがどう違うの?
ヒメモバコエビはガヤだけを暮らしの場にしているわけではなく、冒頭の写真のようにカイメンに載っていたり、なんてことのないところにチョコンといたりするから、居場所はなんの決め手にもならない。
なので私自身、典型的なナガレモエビのたたずまい(緑のヤツ)のものを除くと、あとから写真だけを見てそれがどっちなのかと問われても、まったく自信がない。
ただ、実際に海中で観ている時には、自分なりに「ヒメモバコエビ」と認識しているので、撮影時の記憶があるものについては区別している。
ではその決め手はいったいなにか。
Don't think, feel。
両者は科のレベルで別物だというのに(モエビ科とタラバエビ科)、フィーリングで決めてしまっていいのか?
…という声が聞こえてきそうだけど、いやもう、考えたってしょうがないじゃないですか、わかんないんだから。
わからないから、ひょっとするとナガレモエビの稿で紹介している冒頭の写真8枚の内、上段下段の右側4枚は、全部ヒメモバコエビかもしれない。
冒頭の写真のエビも、実はヒメモバコエビではないかもしれない。
顔を見ればわかる!という方のために、一応正面から観た姿とお顔のアップを載せておきます。
こんな見づらい写真じゃ余計わからないですかね…。
カイメン上の白いエビとは関係ないところで観た↓このエビも、ヒメモバコエビと感じて撮ったもの。
こうして見くらべると、正体が何であれ、両者は別のエビのような気がしてきた…。
ともかくそういうわけで、ここでいうヒメモバコエビとは、撮影時の記憶が残っているおかげでヒメモバコエビだと私が信じているエビたち、という意味でしかないので、くれぐれも同定の参考になさらないようご注意ください。
そんな暫定ヒメモバコエビたちは、とにかく小さい。
しかも、同じ種類のガヤに複数匹いるくせに、それぞれで微妙に模様や色が違っていたりする。
その「いる雰囲気」がヒメモバコエビ的なんだけど、なにしろ小さいために肉眼では「エビがいる」ということ以上のジジツはまったく認識できない。
このエビのディテールを知るには、撮りやすそうな個体を選んで写真に収め、パソコン上で拡大して眺めるしかない。
ただしその写真には、ヒメモバコエビと感じて撮ったものである、ということを別して記しておかないと、私のように自分を信じすぎてなにもしていないと、数年経てば写真のエビが誰だかわからなくなってしまうから注意が必要だ。
フィーリングとはえてして不安定なモノなのである。
それでも懲りずに、出会うとうれしくなって、またパシャパシャ撮ってしまうヒメモバコエビ(暫定)。
ヒメモバコエビはここを見ればわかる!というツボをご存知の方、ショーミープリーズ。