甲長 10mm
クリイロサンゴヤドカリという和名は随分古くからあり、私がダイビングを始めた80年代後半にはすでに図鑑にその名が載っていた。
ただ、当時は他の小さなエビやカニ同様ヤドカリたちの分類学的研究はまだまだこれからといったところだったこともあり、実はクリイロサンゴヤドカリと呼ばれているヤドカリには2種類いることがその後明らかになった。
20世紀の終わり頃にはもう、両者は図鑑でしっかり区別されていたのだけど、脳内リセットが苦手な私は、引き続き両者を合わせて「クリイロサンゴヤドカリ」と認識し続けていた。
とはいえエビカニ変態社会がすっかり帝国化してしまった以上、ウカツに80年代のゆるさでクリイロサンゴヤドカリと言い続けているわけにもいかなくなり、遅まきながら両者をしっかり区別してみたところ、なんてことだ、昔馴染みのクリイロサンゴヤドカリは、デジイチを使うようになった2012年春以降2個体しか撮っていなかった。
冒頭の写真の子と、もう1匹はこちら。
一方、クリイロサンゴヤドカリではないほうは16個体。
ずっとクリイロサンゴヤドカリと思い続けてきたヤドカリの大半は、セグロサンゴヤドカリだったのである。
両者とも浅く明るいリーフ際で日中でもウロウロしているから、ボートダイビングでもフツーに出会えるヤドカリのはずなのに、種の違いを意識せずに撮った個体数にこれほど差があるということは、少なくとも水納島ではセグロサンゴヤドカリよりもクリイロサンゴヤドカリは少ないということなのだろうか。
それとも、タイドプールにさえいるというクリイロ…に比べると、セグロ…のほうがもう少し深いところを好むから、ということなのだろうか。
また、オトナになるにつれさらにクリイロになっていくクリイロサンゴヤドカリの脚(歩脚)は、逆にもっと若い頃はハサミ脚すら全然クリイロじゃない…というか、まったくのホワイティらしい。
そのホワイティが、同じような場所に居る他のヤドカリ(ウスイロサンゴヤドカリ)の若い頃にそっくりで、いったいどこでどう見分けるんだかさっぱりわからない。
ちなみに、ウスイロサンゴヤドカリの若い子と私が思っているのが↓これ。
このへんはすべてウスイロサンゴヤドカリ認定してしまっているものの、ひょっとするとそのなかのいくつかはクリイロサンゴヤドカリかもしれない…。
ウスイロサンゴヤドカリヤングとクリイロホワイティヤングの、シロウトでもわかる明確な見分け方をご存知の方は、是非是非ご教示くださいませ。